2025.07.31

ブランディングの知見を活かし、企業社史を再編集。ブランドソリューション、新領域での支援事例「積水ハウス」編

書き手 白方はるか
ブランディングの知見を活かし、企業社史を再編集。ブランドソリューション、新領域での支援事例「積水ハウス」編

クライアントのブランディング課題に対して総合的な企画をご提案するクラシコムの「ブランドソリューション」。

「北欧、暮らしの道具店」内でブランドの魅力をコミュニケーションする取り組みは引き続き堅調に成果を出しており、最近では「北欧、暮らしの道具店」で培った企画ノウハウやコミュニケーション設計を活かし、当店外で実施する施策まで支援が拡がっています。

この記事では、直近の事例として「積水ハウス」社員向け書籍の制作事例をご紹介します。

企業の価値観を深く理解するためのツールをつくるには

積水ハウスとブランドソリューションは、2022年「北欧、暮らしの道具店」で公開したBRAND NOTEの記事を皮切りに、これまで合計12件の取り組みを重ねてきました。2023年には「わたしの日々、暮らしの機微。」をテーマに、積水ハウスのサイト上で動画を公開する新たな試みも展開しました。

特設ページ:https://www.sekisuihouse.co.jp/kodate/hokuohkurashi

2020年に創立60周年を迎えた積水ハウスは、30年後のありたい姿として、”「わが家」を世界一幸せな場所にする”という目標を掲げた「グローバルビジョン」、2024年にはアイデンティティを言語化した新しい道標「SEKISUI HOUSE_SHIP」を策定。

次のフェーズに向かう整備を進める中で、改めて、創業時の想いや今につながる価値観が形成されたストーリーを3万人を超えるグループ全社員と共有するために、「創業30周年社史を有効活用したい」という仲井社長の思いを受けて、今回のプロジェクトがスタートします。

迷ったときの道しるべを目指して、過去の社史を再編集

積水ハウスの30周年社史『住まい文化の創造をめざして 積水ハウス30年の歩み』(1990年発刊)は、黎明期の熱量や想いに触れられる貴重な書籍ですが、社内に現存しているのは数冊のみでした。そこで企業の価値観を深く理解するためのツールとしてこの社史を再編集し、新入社員さらにはグループ社員へ配布することに。

クラシコムは、これまでのブランディングの知見を活かし、全体ディレクションを担当。書籍の方向性やコンテンツ、デザインについて、クライアントの希望と目的をすり合わせながら制作を進行しました。

ブランドソリューションの担当スタッフ・越後は企画についてこのように話します。

「企業理解が深まり、社員が自分ごと化できるようなツールを目指すにあたって、今回の書籍が社員のみなさんの“迷ったときの道しるべ”であってほしいと考えました。

プロジェクトや仕事で行き詰まったとき、新しい挑戦に踏み出そうとするとき、あらためてこの社史を手に取り、創業期からのエピソードや先輩社員の言葉、理念や価値観をふりかえることで、次への一歩を後押しできる存在であってほしいな、と。そうなると、“手元に置いておきたくなる”ことが大事で、かつ、誇りを持って手に取れる一冊になれるような本であろうと考えました」

原文の熱量や想いを伝えるために「読書体験の補助線」をつくる

書籍の方向性において「ページ数を圧縮して読みやすく手に取りやすいものに」と相談をいただきましたが、原文から醸し出される当時の熱量や思いを伝えるため、あえて抜粋部分の掲載や要約などを行わず、全編をそのまま使うことに。

分厚い社史を読んでもらえるだろうか?という懸念に対し、内容を簡易化・要約したコンテンツなど、読みやすさを補強する編集アプローチは行わず、本章の前後に「どのようにこの本を読んでほしいか」という視点でコンテンツを追加。読書体験の補助線を最小限つくるのみにとどめました。

越後は、編集において印象的だったフェーズについて、以下のようにふりかえります。

「今回のプロジェクトでは、30年史を全て読み込んだ上で『SEKISUI HOUSE_SHIP』に通づるエピソードを1つずつ抜粋し、各章の扉に採用しました。台割上では1ページをつくるための作業ですが、どのエピソードが今にも通じる積水ハウスらしさとして紹介できるのか、単なる歴史や取り組みを超えた、理念、社風、価値観など深い企業理解が求められる作業でした」

こうして当時の社史を何度も読み返しながら、加筆修正を行い、再編集を進め、2025年3月、B6版・合計396ページの新装版社史が完成。歴史ある企業としての“佇まいとしての重厚さ”を醸し出しながらも、手に取る際にまったく躊躇を感じさせない“親しみやすさ”を両立した装丁です。

タイトルは『「わが家」を世界一幸せな場所にする 創業からの30年に見る積水ハウスの原点』。積水ハウスが2050年に向けて目指す姿として新たに掲げたグローバルビジョン「『わが家』を世界一 幸せな場所にする」の文言をそのまま採用しました。

再編集した社史は、当初の予定どおり積水ハウス社員への配布が行われ、企業らしさがどのように培われてきたのか、一人ひとりの理解と共感を助けるツールとして活用されています。

より多様な支援へ。ブランドソリューションの新たな可能性と広がり

既存商品のプロモーションを主軸としたアウターブランディングの支援を多数手がけてきたブランドソリューション。今回の取り組みでは、「社史」というかたちで企業の根幹を成すインナーブランディング領域に深く関わり、新たな可能性を見出すとともに、その支援ニーズを改めて認識する機会となりました。

最後に、プロジェクトを経て感じたことや今後の展望を、越後に聞きました。

「『北欧、暮らしの道具店』が大切にしてきた生活者に寄り添う視点、物語を通じて共感と関心を引き出すノウハウを用いることで、インターナルに発信するメッセージにおいても、その価値を最大限に引き出すことができると実感しました。

生活者目線でのコンテンツづくりの知見を活かした顧客から選ばれるブランドを共に育む支援、そして今回のようなインナーブランディングまで、これからもその企業ならではの価値や魅力を最大限に引き出す、多様なブランディング支援のかたちを追求していきたいと思います」

 

BRAND SOLUTIONのご案内

「北欧、暮らしの道具店」を運営する株式会社クラシコムの「BRAND SOLUTION(ブランドソリューション)」では、「北欧、暮らしの道具店」の世界観と顧客エンゲージメントの高さ、コンテンツ・パブリッシングで培った企画制作能力を活用し、クライアント企業のブランディング課題に対する総合的なソリューションを提供しています。詳しくは、下記よりお気軽にお問合せください。

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