ダメ出しを素直に受け入れられる雰囲気づくりとは?「北欧暮らしの道具店」編集チームの働き方【後編】

書き手 クラシコム馬居
ダメ出しを素直に受け入れられる雰囲気づくりとは?「北欧暮らしの道具店」編集チームの働き方【後編】
「北欧、暮らしの道具店」編集チームのお仕事について、読みもの(コラム・特集)がどうやって作られているのかをお話した前編につづきまして、後編は、その読みものをどう改善しているのか、ということや、チームの雰囲気についてご紹介いたします。

聞き手は、普段はクラシコムの外でフリーランス活動をしております、クラシコムジャーナル編集担当・馬居です。

全部やり直し!?体で覚える写真撮影術

———編集チームの「読みもの(コラム・特集)」についてのお話に続きまして、なにか他の作業で岡本さんが入社して1年で驚いたことはありますか。

岡本
驚いたのは、商品ページや商品写真をここまでこだわるんだ…!ということですね。

編集チームは、読みものの他に、ECサイトである「北欧、暮らしの道具店」の肝になる「商品ページ」も担当しているんですね。

作業としては、買い付けたバイヤーと、編集チーム内で商品ページのディレクションを担当している先輩スタッフと、私たち編集担当と、3人でどういった見せ方にするか相談した後、編集担当が

1.ページ構成を考える
2.写真のスタイリングを検討する
3.写真を撮るのに必要な小物を買い出しに行く
4.スタイリングをして写真を撮る
5.写真をパソコンに取り込む
6.ページ構成に合わせて文章のライティングをする
7.写真をはめ込む
9.仕上げてチェックに回す

を、すべて1人で行います。

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(左)マネージャー 津田/(右)編集 岡本

———すべて1人で行うのですか?

岡本
そうなんです。でも、最初の半年は試用期間中なので、教育担当の先輩がついてくれて、全部チェックしてもらうことができます。でも、そのこだわりが、想像よりもすごくて。

津田
商品写真の中でも、売りたい商品そのものではなく、背景でぼやかしてるマグカップがダメ!とか言われたりしますよね(笑)試用期間中は、その「どこまでこだわるか」を学ぶ時間でもあるのかもしれません。毎回商材が違うので、なかなか大変ですよ。

教育担当はつきますが、その教育担当が「なぜこれでOKしたの?」と店長や商品ページのディレクターからダメ出しされるということもあって。新人と教育担当が2人並んで指導されるというのもよく見る光景です。

私も編集チームに異動した当初、全部写真を撮り終わってから、これではダメだと言われた後に、先輩にスタイリングを一からやり直してもらって、さあ、撮り直しなさいと言われたりしました。「今、私、ただのシャッターロボットになってる…。」と呆然としちゃいましたね(笑)

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———なかなかスパルタなんですね。

岡本
私も、サイトの雰囲気とのギャップに本当にびっくりしました。まさか全部1人でやっているとも思いませんでしたし。もっとワイワイ楽しく写真を撮ってるのかなと思っていて。

津田
分担してしまうと、その分のコミュニケーションコストがかかってしまいますし。クラシコムは毎日18時定時で残業はしないという方針なので、みんなそういった作業は、とにかく黙々とこなしていきますね。

ちょうどいいトイレの話題?一番大切なのは、雰囲気作り

岡本
クラシコムの人は、すごく話が盛り上がる時と、集中して働く時の切り替えがすごいですよね。

津田
盛り上がってもすぐ終わるんですよね。自分の状況次第では、どんなに周りが盛り上がっても入ってこない人もいるし、入ってこなくても他の人も気にしませんし。

岡本
編集チームが週に1回集まる「エディ会議」というものがあるんですけど、この会議もいつもすごく盛り上がりますよね。

私は、クラシコムに入るまでは、意見を急に求められたりすることが怖くて、会議が好きじゃなかったんです。でも、エディ会議はすごく面白くて驚きました。

津田
それはきっと天然ボケの先輩たちが多いからじゃないですか(笑)楽しい理由の半分くらいはそれじゃないかと思うんです。

何人かいる名人たちがボケを重ねていくんです。言い間違いとかもすごいしですし。その人達が面白すぎるんですね。私は完全にただのツッコミ役です。

岡本
その津田さんのツッコミが面白いんです。MCみたいな。

お菓子好きなスタッフが毎回用意してくれる「エディ菓子」というものもあったりして、すごく喋りやすい雰囲気なんですよ。

津田
たしかに、普段は18時退社に向けてみんな黙々と働いているので、そういった会議だったり、チームの雰囲気はなるべく良いものにして、楽しく働きたいという気持ちはすごくありますね。

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岡本
トイレの会話もすごいです。

津田
トイレ??

岡本
昨日、入社1年目の4人でご飯を食べたんですけど、とにかくクラシコムの人たちのトイレの会話がすごいという話になって。

トイレで鉢合わせた時の話題のチョイスって難しくないですか。私はすぐ天気の話しちゃうんです。寒いですねとか。

津田さんだけではなくて、クラシコムの人はみんなその話題の選び方や長さがちょうどいいんです。

津田
意識したことなかったです。適当に話してたので…。

岡本
エレベーターで1階から会社がある4階に上がる時も同じで。

ちょうどよい長さかつ、無理をして喋っているわけではないというか。

特に、クラシコムに長くいる方たちの、雑談力とか相手をリラックスさせる力はすごいと思います。

津田
あー、それは、自分もそうされてきたからですね。先輩たちからかまってもらったというか、すごく見てくれてるなという安心感は持っていました。

クラシコムは、まだまだ小さい会社ですし、他社に比べたら足りない部分も多いのかもしれないですけど、それでもクラシコムに来てよかったなと思ってほしい、という先輩たちの想いを、私自身が感じていたんです。

それがすごく嬉しかったので、自分も後輩たちが入ってきたら同じようにしようと思っていましたね。

「“作った人”と“作ったもの”は別」という共通認識

———「エディ会議」ではどんなことを話すのですか。

津田
基本的に、前週どうだったかという結果の振り返りをすることが多いです。

企画ごとに、商品を売りたいとか、たくさんの人に見てもらいたいとか、新しい世界観を見せたいから数字については問わないとか、狙いが明確になっていているので、その目的に対する結果はどうだった?という答え合わせのような話が多いです。

特に良くなかった時の話が盛り上がります。意外と読了率あがらなかったね、すごく面白かったのになんでだろうというようなことを、雑談のような形でするんですけど。

あそこに気をつけるべきだったということになれば、私も次にみんなの文章をチェックする時はそこもみないとと、勉強になります。

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すごく率直に言われますよね。改めて見ると、このタイトルってちょっと意味がわからないとか、グッと来ないよねとか。

岡本
言われますね。

不思議なのは、指摘された時に、グサっとこないといけないのかもしれないんですけど、ああ、たしかにそうだな、そこだったかーと前向きに捉えられるんですよね。自分で作ったものも客観的にみれるというか。

津田
作られたものと作った人は別だよね、という共通認識が、本人も周りもできているからかもしれません。私からすれば、最終的には私が全部チェックしていることなので、私の責任だと思っていますし。誰かが悪いということにはならないですね。

岡本さんが担当しているFacebookも、最初のうちはすごくダメ出ししましたよね。

岡本
すっごかったです。

津田
このタイトルはどこを工夫してるの?っていう「津田の工夫クイズ」って呼ばれてるツッコミがね。

岡本
あれは、汗だくになりました。

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互いを信頼しているからできるダメ出しと反省の連続

津田
ダメ出しされてもグサッとこないのは、あまりに毎日やっているから慣れてしまってるからかもしれないですね。

例えば、今朝も、
「この商品は前にも似たような商品を出したけど、その時はもっとすぐに販売が伸びたよね、なんでだろう。メルマガのタイトルってもうちょっとなんとかできたんじゃない?」
とかやっていましたし。

こういうことを、雑談ベースですけど、毎日やってます。それに加えて、読みものは週に1回1時間エディ会議でそういう話ばかりしていますし。

———誰か悪気のある人が一人でもいたら成り立たなそうですね。

津田
確かに、悪気がある人がいないから、これだけ率直に指摘し合えるんですよね。最初のうちは、指摘されて拗ねる人ももちろんいますけど。あ、というか、私がそういうタイプだったので。「は、私は私で考えたし」みたいな(笑)

でも、毎日ダメ出しをし合う中で、そういう気持ちもなくなりました。同じように突っ張る人もいたりもしますけど、最終的にはみんな冷静になります。

黙っていても、結果が良くならない、売上が良くならない、お客さんも来なくなる、仕事が減る、私たちの給料も上がらない、と負のスパイラルになるだけですから。絶対言ったほうが良いなと思いますしね。

岡本
みんな本当にそれぞれ全力を出し切って、それが売上につながってというのを毎日見続けているので、お互いに信じられるのかもしれないです。

津田
とにかく、クラシコム自体がいつも反省している文化というか。数値目標などはほとんどないんですけど、その分、なんとなく反応が良くないとか、最近の読みもの面白くないとか、そういう感覚は大切にしています。

店長とも、月に1回1時間、テーマを決めずにミーティングをしていますが、そういった、最近のうちらどうだろう?みたいな話ばかりしています。クラシコムには、そういった自省の文化が根付いているのかもしれないです。

他の会社はどうなんでしょう。独特なんですかね…?

———これだけみんなが率直に意見を言い合える空気というのは、ちょっと独特なのかもしれないですね。また、クラシコムジャーナルで、他の会社のダメ出し事情についても聞いていきたいですね。

津田
ぜひ知りたいですね。

———よし、それでは、今日はこんなところで終わりましょうか。

津田
面白い話ができましたかね…。

———自分たちの仕事の話をするのは、なかなか難しいですよね。

津田
本当に難しいですね…。でも、ここまで読んでくださったみなさまありがとうございました!

岡本
ありがとうございました!

———ありがとうございました!

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クラシコムの試行錯誤がみなさまの「フィットするお仕事」のヒントになることができれば嬉しいです。

前編では、編集未経験で入社したマネージャー津田がどのように「読みもの」を作り上げ、スタッフの進捗を管理しているなどをお話しております。
前編:「編集経験ゼロ入社のマネージャーが徹底管理!