さらに軽く、さらに便利に。サーモスの真空断熱ケータイマグ「JNLシリーズ」は進化を止めない

書き手 阿部 花恵
写真 鈴木 静華
さらに軽く、さらに便利に。サーモスの真空断熱ケータイマグ「JNLシリーズ」は進化を止めない
世の中に数多くあるヒットブランド。開発の背景はさまざまですが、その裏には共通して「ずっとこういうものが欲しかった」というお客さまの声が潜んでいます。長く求められていたのに、今までになかったもの。それが、ヒットブランドのキーワードだといえそうです。

「暮らしを支えるヒットブランド」では、そんな商品にスポットをあて、ヒットの理由を紐解いていきます。

今回登場するのは、いまや業界のベストセラーとなったサーモスの「真空断熱ケータイマグ」。驚くほど軽量でスリムな水筒「JNLシリーズ」はどのような背景で開発されたのでしょうか。サーモス株式会社の樋田望さんにご登場いただき、ヒットの秘密をお伺いしました。|世の中に数多くあるヒットブランド。開発の背景はさまざまですが、その裏には共通して「ずっとこういうものが欲しかった」というお客さまの声が潜んでいます。長く求められていたのに、今までになかったもの。それが、ヒットブランドのキーワードだといえそうです。

「暮らしを支えるヒットブランド」では、そんな商品にスポットをあて、ヒットの理由を紐解いていきます。

今回登場するのは、いまや業界のベストセラーとなったサーモスの「真空断熱ケータイマグ」。驚くほど軽量でスリムな水筒「JNLシリーズ」はどのような背景で開発されたのでしょうか。サーモス株式会社の樋田望さんにご登場いただき、ヒットの秘密をお伺いしました。|世の中に数多くあるヒットブランド。開発の背景はさまざまですが、その裏には共通して「ずっとこういうものが欲しかった」というお客さまの声が潜んでいます。長く求められていたのに、今までになかったもの。それが、ヒットブランドのキーワードだといえそうです。

「暮らしを支えるヒットブランド」では、そんな商品にスポットをあて、ヒットの理由を紐解いていきます。

今回登場するのは、いまや業界のベストセラーとなったサーモスの「真空断熱ケータイマグ」。驚くほど軽量でスリムな水筒「JNLシリーズ」はどのような背景で開発されたのでしょうか。サーモス株式会社の樋田望さんにご登場いただき、ヒットの秘密をお伺いしました。

樋田望さん
サーモス株式会社 マーケティング部 商品戦略室 企画課 企画第2グループ リーダー

2010年、サーモス株式会社に入社。翌11年にマーケティング部に配属される。商品開発におけるマーケティング調査、商品企画などを担当。次なる目標は「ケータイマグを日常的にあまり使わない若年層にも響くような商品」を開発すること。

構造がシンプルな「水筒」をこれ以上どう改良する?

──真空断熱ケータイマグ「JNLシリーズ」は、いつ頃生まれたのでしょうか。

「JNLシリーズ」が誕生したのは2012年ですが、その前のモデルにあたる「JMYシリーズ」によってケータイマグそのものが世間の幅広い層から認知・支持されたという背景があります。

その結果、競合他社からもマグボトルが続々発売されるようになったのですが、サーモスとしての次のチャレンジを、ということでトライしたのが「軽量化」でした。従来よりも本体重量をさらに15%軽くしよう、という目標を設定し開発が始まったのですが、そもそもケータイマグ自体がそこまでパーツが多いものではありません。そこが最初の悩みどころでしたね。

──直接口をつけて飲むタイプだと、飲み物が入るステンレス本体、フタ、飲み口の3つとシンプルな構造です。

そうなんです。じゃあ限られたこのパーツの中で、どの部分を軽量化すればいいのか。目をつけたのは本体のステンレスです。

本体はステンレス製の内びんと外びんの二重構造になっているのですが、このステンレスの厚さを極限まで薄くし、かつ真空になっている両者の隙間、「真空断熱層」もギリギリまで縮めていこう、という技術検討の方向性が決まり、そこから試行錯誤が2年ほど続きました。

──サーモスのマグといえば、保温・保冷効果の高さにも絶大の信頼が寄せられています。それを実現しているのが「真空断熱層」の技術ということですか?

おっしゃる通りです。内びんと外びんの間には「真空断熱層」という高真空の壁があります。その壁によって中の温度が外に逃げていかないし、外の熱も中に伝わらない。だから飲み物の温度を長く保つことができる、という構造になっています。

ですから、熱が伝わらない内びんと外びんのギリギリの距離と、ステンレス自体の薄さと強度。これらのベストバランスを追求して、従来のケータイマグから20~30%の軽量化、コンパクト化を実現して誕生したのが「JNLシリーズ」です。


左が旧モデル、右が現行モデルのマグ本体の断面。内びん・外びんの間の幅が狭まり、ステンレス自体の厚さも薄くなっていることが一目でわかる

性能の追求とデイリーな使いやすさのベストバランスを探

——本体の構造以外にも注目すべき工夫はありますか?

どうしたら1℃でも保温性能が高まるか、ということに関してもさまざまな工夫をしています。たとえば飲み口の径の大きさ。ここを狭くすればするほど熱が外に逃げにくくなって、温度が長く保てます。つまり、口径を狭くするほど保温・保冷性能が上がることはわかっている。でも一方で、口径が広い方が飲み物も氷も入れやすいですよね。

──確かに。口径が広いほうが飲み物を注ぎ入れやすく、洗いやすい。使い勝手はいいですね。

そういったお手入れのしやすさも毎日のことですから、重要な要素だと私達は考えています。洗いやすさという意味では、飲み口が簡単にはずせて、パーツが少なく、かつ洗いやすい形状のものほど好まれます。

性能、使いやすさ、お手入れの簡単さ。いずれの条件も満たす口径の形状やバランスを探ることに関しても、毎回じっくりと検証を重ねています。

飲み口やキャップ部分の形状も常に改良を重ねている。右に行くほど新しいモデルに

──片手で持って親指でプッシュするだけのワンアクションでロック解除&オープンできるのも便利です。

このワンタッチ・オープン構造も実は色々な工夫があるんです。親指を置く指がかりの部分はどのくらいのスペースが開けやすいのか、押しやすいボタンの大きさは、という点でも細かな改良を繰り返しています。大人だけでなく、小さなお子さまも使ってくださるものなので、どんな人でも使いやすいようにと試行錯誤していますね。

──2018年9月には新モデルも登場するそうですね。

スクリュータイプの新モデル「JNWシリーズ」です。新モデルで最も注力した点は2つ。ひとつは「いかにコンパクトに見せられるか」。もうひとつは「製品全体の質感を上げることができるか」。

この2点を重点的に検討して作りました。

たとえば、フタ部分の大半を本体と同じステンレスで覆うことで質感の高さを目指しました。飲み口には、口当たり柔らかなシリコーンを採用し、唇に当たる部分の質感にもこだわって開発いたしました。飲み口のパーツが1つ減ったことで、洗いやすさもアップしました。

また、持ち歩くときの握りやすさもさらに再検討した結果、JNLシリーズでは65mmだった本体の持つ部分の径を64mmに変更しています。

──わずか1mmの違いなんですね。

はい。たった1mmと思われるかもしれませんが、ユーザーの方の声を参考にしつつ、3Dモデルを数パターン作って全体のバランスを比較しながら、細部まで詰めて詰めて導き出した1mmです。そういったこだわりはこれからも大事にしていきたいですね。

「おいしい温度」がもたらす暮らしの豊かさを伝えたい

──JNLシリーズをはじめとした「真空断熱ケータイマグ」全般に関して、どのようなコミュニケーション戦略を大切にしていますか。

少し前までは、ひとつの商品の性能にフォーカスしたCMを展開する、という形を取っていました。ですが最近はモノとしてのよさはもちろんですが、サーモス商品が持つ本質的価値である「おいしい温度」をひとつのキーワードとして、「おいしい温度を保つことでこういった幸せの形、暮らしの豊かさが生まれますよ」というメッセージを伝えることを重視しています。

ケータイマグ、水筒って、どうしても手に取ってもらわないとよさがわからないんですよ。「こんなに軽いのか」「洗うのが面倒そうだと思っていたけど意外に簡単そう」という感想も、やっぱり実物に触れないと出てこないものなので。

ですから、試飲イベントなど、実際に手に取ってもらえる機会を積極的に増やしていき、サーモス製品を使っている仲間をどんどん増やしていきたいですね。

 

編集後記
サーモス愛用歴7年の私ですが、新モデルに買い換えるたびに、「また軽くなってる!」「前より洗いやすい!」といつも驚かされます。現在はJNL(0.5L)とJNO(0.35L)を気分で使い分けていますが、季節を問わず飲み頃の温度を長時間キープしてくれるケータイマグはもはや私たちの日常に欠かせないアイテム。マイボトルを持ち歩く生活が、みんなにとっての「ふつう」になる。「ヒット」の先には新たなライフスタイルが生み出されるんですね。