北欧、暮らしの道具店」のノウハウを活用して、企業のブランディング支援を行う「BRAND SOLUTION(ブランドソリューション)」。2024年11月から3か月にわたって、クラシコムのプロデュースのもと「PLAY! PARK(プレイパーク)」(立川)にコンテンツを企画していただき、ロート製薬のメンソレータムと「やさしいおせっかい」をテーマにしたイベントを開催しました。
この企画を契機に、ブランドソリューションで「PLAY! PARK」をパートナーとしたお取り組みメニューが本格スタートすることになりました。今回は、メンソレータムとのイベントでご一緒させていただいた「PLAY!」のプロデューサー草刈大介さんに、お話を伺います。
▲PLAY! プロデューサー・ブルーシープ代表 草刈大介さん(写真左)
朝日新聞社勤務を経て、2015年に展覧会を企画し、書籍を出版する株式会社「ブルーシープ」を設立して代表に。PLAY!のプロデューサーとして展覧会、書籍のプロデュース、美術館や施設の企画・運営などを手がける。
聞き手は、クラシコム ブランドソリューショングループのプランナー中村(写真右)です。
子どもたちが自由に遊べる。どこにもない新しい場所「PLAY! PARK」
―「PLAY! PARK」の施設の特徴を教えていただいてもよいでしょうか?
僕たちは「朗らかな革命的な運動体」という言葉でこの場を表現しています。既製品の大型遊具の代わりに、普通は遊びに使わない素材で新しい環境を提供し、子どもたちに遊び方を自由に考えてもらうような場を目指しています。
普通は遊び方が決まっている遊具を提供して、子どもたちはそのルールに沿って遊ぶことが多いですが、それだと子どもにとっては勉強みたいでつまらないし、創造的なことも生まれないんじゃないかな、と。
僕たちはスタッフと子ども質が一緒に遊びを作っていくことを目指しているので、運動体という言葉で表しています。今年、「変な遊び図鑑」(ブルーシープ刊)という本を作ったのですが、それは「PLAY! PARK」で生まれた数多くのユニークな遊びをまとめた1冊です。日々、新しい遊びが生まれている、そんな場所です。
日本人は見たことがあるものや安心感があるものが好きなんですよね。テレビ番組や舞台、お笑い芸人でも、買い物のシーンでも、突飛なものを選ばない。どこか好奇心を持ち切れてないところがあるのではないかと思っていて。「PLAY! PARK」では、そうではないことができたらいいなと考えています。
▲2020年6月に誕生した、子どもたちが自由な発想で遊べる「PLAY! PARK」。約1,000㎡の空間は、「ふじようちえん」の設計で知られる手塚建築研究所によるデザインで、既存の遊具や玩具を設置せず、数ヶ月ごとに建築家やクリエイター、美術や建築を学ぶ学生たちと共同で、オリジナルの遊具を開発・制作。
―私たちクラシコムのブランドソリューションのチームは、2024年11月からの3カ月間、「PLAY! PARK」でメンソレータム様とのコラボレーションしたイベントでご一緒させていただいたんですよね。それ以前にも、企業とのコラボレーションはされていたと思うのですが、このお取り組みをご相談させていただいたとき、率直にどんな感想を持たれましたか?
クラシコムさんは小売やプロダクトづくりをするなかでメディアというプラットフォームができて、そのメディアを使ってさまざまなクライアントさんとのお取り組みをされていたので、PLAY! PARKの特徴を活かす成果を期待しているだろうとは最初から感じていました。お取り組み次第では、うまくできるんじゃないかなと思った記憶があります。
PLAY!ではそれまでスポンサードをあまりやっていなかったのですが、クラシコムさんからこの話が来た時に、「この場所はもっと活用できるんだな」と改めて思いました。
▲大人も入れる直径約1mの大きさの「メンソレータム軟膏」の缶(お風呂)など、メンソレータムにまつわるさまざまコンテンツを展開
―嫌われがちな広告を喜ばれるコミュニケーションに昇華していきたいという思いで、「北欧、暮らしの道具店」というプラットフォーム上でコミュニケーションをしてきたのですが、そこだけだと解決できない相談も増えてきていまして。「PLAY! PARK」となら同じ考え方を持って楽しいコミュニケーションができそうという予感がありご相談させていただきました。我々としても初期から面白そうに話を聞いてくださったのがすごく印象的でした。
新しいことは常に面白いですよね(笑)。これまでも展覧会でスポンサードの経験が多々あります、展覧会での企業コラボというと、媒体に出稿して宣伝して、来場者にアピールするためにパネルやブースを設置して……というかたちになりがち。
それだと広告が悪目立ちしてしまい企業にとってあまりメリットがないんじゃないかと感じていたのですが、会場での展示の仕方からキャンペーン、宣伝、デザインまでを一緒に考えさせていただけると、企業が持っているコンテンツをお客様にプラスアルファのコンテンツとして提供できる。そのことが来場者の発見や満足度につながるので、やり方を工夫すれば、実は僕ら施設側にもプラスになるお取り組みなんですよね。
企業のメッセージを「PLAY! PARK」のコードに変換する
―今回のイベントでは、言葉を選ばずに言うとブランドで思いっきり遊んでいただきました。キュレーターのみなさんが「子どもたちに楽しんでもらう」という視点を大切にしながら、企業側が伝えたいメッセージを噛み砕いて、いい具合に調理していただいたと思っています。ブランドとお客様が仲良くなるきっかけとなったことに、ブランドの担当者様も満足してくださっていました。
―ブランドが前に出ているけれど、楽しいコンテンツとして消化されているので、来場するみなさんが「PLAY! PARK」の遊びの一部としてちゃんと遊んで帰ってくださるんですよね。最終的に3か月間で17,000人の方が来てくださったのですが、みなさんの楽しそうな様子が印象的でした。
もちろん解体しすぎて商品やブランドに傷をつけるようなことはしないというのは大前提ですが、しっかりとした商品やブランドであれば、多少いじられたところで揺らがないと思うんですよね。そういう強さがあるものだからできたというのもあります。
―店頭でメンソレータムと出会っても関係を築きにくいけれど、遊びを通して、楽しみながら触れることによってメンソレータムは特別な存在になるし、その後にお店に行ったらまた違う見え方にもなる。それはやっぱり「PLAY! PARK」の世界観の中で、そこに来ている人たちに楽しめるようなものに消化してくれたからこそなんだろうなと思います。コンテンツを考えてくださったキュレーターの方々に、こういったコラボレーションのときに意識するように伝えていることってあるんですか?
彼らにはいつも「オンリーワンになり続ける」ということは伝えています。似たような取り組みをしている施設は今のところないですが、何かをなぞることはしない方がいいので。最近、僕らのなかで「面白い」をテーマに掲げていて。面白いって生きる活力になるし、幸せの起点や原点だと思うんです。「PLAY! PARK」は、とにかく子どもたちが思いっきり楽しめるような場所なので、それまでの実績やメソッドというのは必要ないんですよね。
企業とのコラボレーションだとしてもそれは同じです。お題について、僕なりにポイントは伝えますが、それを飲み込んで、アウトプットすることは、キュレーターたちが責任を持ってやってくれています。
コラボレーションを通して“好き”を増やしたい
―草刈さんが企業の担当者に、この場所でのコラボレーションをPRするとしたら、どういったポイントをお話されますか?
例えばキャラクターやブランドの展覧会をやる場合、その意味というのは、そこで展示するキャラクターやブランドを前よりもっと好きになってもらうためだと思うんですよね。
僕たちとしてもキャラクターやブランドをお預かりする以上、そのコンテンツに貢献したい。そのビジネスが拡大してほしいし、背景や思いを知ることによって愛着が深まって欲しい。「PLAY! PARK」は、コラボレーションを通して、その企業やプロダクトをもっと好きになってもらうということが自然にできる場所だと思います。
自由なアイデアにあふれた優秀なキュレーターたちもいますし、「PLAY! PARK」のカルチャーも育ち、いろいろなことができる場所へと成熟してきたと感じます。
―最後に「PLAY! PARK」の展望や今後について考えていることがあれば、教えてください。
実は、世田谷の旧池尻中学校の校舎を活用した施設「HOME/WORK VILLAGE」の中に「PLAY!」の小さなサテライト作るプロジェクトが進行しています。「そこで何をするか?」というのを考えているなかで、「PLAY! PARK」の原点についても考えるようになりまして。
スタートしたときは、「PLAY! PARK」のような施設がないから、何をやっても新しかったのですが、5年やってきた今では、多少はルーティン化し、新たな挑戦がしづらくなっている部分もあると感じています。一緒に考えてくれているキュレーターとも「本当にやりたいことができてないような気がする」という話になり、世田谷では、本来やるべきことや「PLAY!」の根幹をやろうということになりました。
それは何かというと、例えば「作る」ということ。具体的には校舎裏には生えている雑草で紙を作って、筆を作って、染料を作り、それで絵を書こうということができないかと考えています。
ビジネスとしては小規模ですし、収益が上がるのかどうかもわかりませんが、僕らは「PLAY!」として、何を作って、何を社会に提案していくのかという原点に立ち返る場所をもてたのはよかったと思います。面白いことを提案していくということはこれからも変わらずに続けていきたいですね。
―今回の取り組みを通して、改めてPLAY! PARKはブランドと生活者との関係を深める上で、非常に魅力的でユニークな場所だと思いました。ブランドとのコラボを前面に出しながらも、楽しいコンテンツに昇華されているから子供達が本当に楽しそうに遊んでくれる。そして帰る頃にはそのブランドが、来る前よりも好きになったり、ブランド名が親子共通のワードになったりして、楽しい思い出として記憶される。PLAY! PARKは子供の思い出に残る、ブランドの原体験とも言えるような機会を提供できる場所だと思います。今後もPLAY! PARKだからこそできる楽しいコミュニケーションを、さまざまなブランドと取り組んでいきたいですね。草刈さん、本日はありがとうございました。
PLAY!PARKとのお取り組みに興味を持たれた方はこちら
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