社員の2割がフルリモート入社。1年間取り組んだオンボーディングを振り返ります。

書き手 クラシコム 金
写真 木村文平(3,4枚目)
社員の2割がフルリモート入社。1年間取り組んだオンボーディングを振り返ります。

こんにちは。人事の金です。
クラシコムもリモートワーク中心の働き方になってから1年以上が経過するので、その間の新入社員のオンボーディングや社内コミュニケーションについて振り返ってみたいと思います。

昨年2月からフルリモート体制へ

クラシコムがフルリモートワークに移行したのは昨年の2月下旬。
現在は、リモートワークをベースに、取材や撮影など必要に応じて出勤するスタイルを取っていて、日々の出勤率は全体の1割程度です。

コミュニケーションは、主にSlackとzoomで行い、業務全体では10種類以上のアプリケーションを使っています。

クラシコムの場合、2018年から必要に応じてリモートワークを選択できる体制になっていました。そのため、「社内に固定電話はおかない」「チームやプロジェクトごとの進捗はSlack上でオープンに共有する」といった環境が整っていたことも、体制を無理なく移行できた要因の一つだったように思います。

社員の約2割がリモート体制で入社

リモートメインになり、最初に考えたことは「これまで関係性があるスタッフ同士のコミュニケーションはスムーズでも、新入社員がうまく馴染めるだろうか?受け入れ側も大変ではないだろうか?」という点です。

昨年3月から今年5月までに入社したスタッフは全16名。社員全体の約2割にあたります。16名中、採用プロセスすべてをオンラインで実施し、入社前に一度もリアルの面識がなかったスタッフも10名います。

▲内定者面談の様子もSlackでシェア

リモートオンボーディングをするにあたり、心がけたことは「コミュニケーション量を増やす」ことでした。

・新スタッフの自己紹介ドキュメントを全社員へ共有
・入社1ヶ月・3ヶ月・半年のタイミングでの人事面談
・配属先チームのマネージャーやメンターとの受け入れ前・後MTG など。

特に、配属先でのオンボーディングプランに関しては、個々のチームに任せていたため、これまで人事はあまり関与していなかった部分でした。体制を移行してからは、リモートゆえの懸念はあるかを聞いたり、他チームの工夫を共有したり、詳細の計画を相談しあったりと、人事もオンボーディング期間を伴走する気持ちでコミュニケーションを行ってきました。

その中で、何よりも心強かったことは、受け入れ側の「ウェルカムな気持ち」です。どのチームも漏れなく、新入社員が来ることを心から喜んでくれていることが伝わり、一緒にいい仕事をするために工夫することは、リモートであろうとなかろうと関係がなく、全力を尽くしてくれる風土があって、人事としては毎回救われる思いでした。

それだけ採用に信頼を寄せてくれている裏返しでもあると思うので、採用活動は本当に必死です。

1ヶ月→3ヶ月→半年の面談で見えてきたこと


計3回の新入社員面談を通じて、組織に馴染むステップのようなものがあるのかも?と気づかされました。

入社1ヶ月目で、多くのスタッフが言葉にするのは、「入社前と入社後でギャップがなかった」という感想です。入社前に見ていた、北欧、暮らしの道具店のコンテンツやクラシコムの発信と入社後の実際の様子を踏まえて、そう言ってもらえるのはとても嬉しいことで、リモートであっても会社に馴染みやすい要因の一つになっていると感じます。

もう一つ多いのは「相談しやすい」という感想。クラシコムでは、雑談と相談をかけ合わせて「ザッソウ」と呼んでいるのですが、「ちょっといいですか?」と声をかけやすい雰囲気があります。私自身も、入社後はこの雰囲気にとても助けられました。ちょっとした自分のつまずきや感じたこと、アイデアなどを気軽に話すことができるのは、大きな安心感につながっています。

参考にした株式会社ソニックガーデン倉貫さんの考え

一方で入社3ヶ月目ぐらいには、会社の雰囲気やチームにはある程度慣れてきた分、もっと役立ちたいという思いや、それゆえの葛藤が垣間見れることもありました。

中途入社のスタッフが、新しい環境でアンラーンしながら日々吸収し実務を担っていくことは決して簡単なことではないと思うので、その思いに頭が下がりますし、考えてみると、仕事の中で葛藤するのは新入社員に限らないようにも思います。

それぞれの揺らぎや葛藤も含めた、仕事の喜びややりがいを共有することが、新入社員が組織全体への所属感をより感じるきっかけになるかもしれないとの思いから、今後はチームを超えて「思いをシェアする時間」を増やしていく予定です。まずは月2回の全社員会議の中で実施するのですが、オンライン上の全社員会議の中で、内面のコアな話ができる雰囲気もクラシコムの特徴の一つかもしれません。

会社の考え方や雰囲気を入社前から知りフィット感を持って入社できる状態。入社後は、安心して率直なコミュニケーションを重ねながら業務を覚えられる状態。さらにはチーム外の社員とも価値観をシェアすることで、一体感をより感じやすくなる状態。そんな環境づくりをしていけたらと思っています。

役割の言語化とマネジメント合宿

リモート環境での社内コミュニケーションを考える上で、もう一つ大切にしてきたことは、「価値観のものさしを磨く」ことです。

これまで運用していた人事制度を「グレード」という表記から「ロール(役割)」に直し、より実態に近い形で役割の定義を言語化して共有したり、3つのバリューについてマネジメント層で合宿を行ったりと、自分たちの軸になる価値観について、考え、深め、言葉にするということを繰り返し行ってきました。

「センシティブ」「チャーミング」「オルタナティブ」という3つのバリューは、これまで採用の募集記事で言及していることもあり、採用面接でも話題になることが多かったのですが、合宿を通じて各チームの様々な仕事の場面にバリューが根付いていることを再確認することもできました。マネジメント合宿後は、オンライン上やリアル出勤の機会にバリューワークショップを行うなど、チームによって広がりがあったことも嬉しい出来事でした。

これまで同じ空間で働くことによって感じ取っていた価値観を、より言葉を磨き、確かめあい、共有するプロセスはとても大切なことなのだとこの1年を通じて感じています。

この辺りも書きたいことはたくさんありますが…長くなるのでまた改めて。(もう一人の人事の筒井さんが、きっと書いてくれるはず…!)

代表の青木がバリューについて書いた代表ノート(2018年)

まとめとこれから

こうやって振り返ってみると、あまり特別なことはやっていなくて

・コミュニケーションをしっかり重ねる
・自分たちの軸を確認し磨き続ける

の2つを両輪のように地道にまわしてきたように思います。

私自身も入社初日からフルリモート勤務だったため、リモート入社の当事者としても、また人事の立場としても、「クラシコムらしさ」に沢山エンパワーされながら試行錯誤を重ねることができました。

今後も社会やクラシコム自体の変化に伴って、新入社員のオンボーディングや社内コミュニケーションはいろんな工夫が必要になると思いますが、その時々で柔軟に発想し、皆で協力しあいながら進めていけたらと思いますし、応募を検討されている方々にクラシコムのそんな試行錯誤をお伝えできるよう、発信をがんばっていきたいと思います。(宣言!)