「北欧、暮らしの道具店」は次の20年をどうつくるのか

クラシコム広報
「北欧、暮らしの道具店」は次の20年をどうつくるのか
2006年の創業から1年後に始まった「北欧、暮らしの道具店」は、2027年に20周年を迎えます。

その節目を前に、私たちは「北欧、暮らしの道具店」の事業運営を担う経営直下ポジションでの採用をはじめました。あわせて、今後、関連するさまざまな職種での採用も予定しています。

この度の採用は、事業の現在地とこれからを見つめ直すための問いであり、未来に向けて一歩踏み出すための取り組みです。

そこで、「北欧、暮らしの道具店」を統括する取締役副社長・佐藤友子とともに、20年の歩みと、この先をどう経営していくのかについて話してみることにしました。

「店長」であることの、その先へ

左:(聞き手)人事企画室マネージャー 金 右:取締役副社長 佐藤

兄妹二人で北欧ヴィンテージ食器の販売からスタートした「北欧、暮らしの道具店」。商品と表現の領域を広げ、ECとメディアが循環するD2Cモデルを築いてきました。

2022年には上場を果たし、社員は約100名、2026年7月期の想定売上は100億円規模へと成長。事業の拡大とともに、「店長」である佐藤の役割も、この20年で大きく変化しています。

金:
「今の佐藤さんの役割を言葉にすると、どのようになるのでしょうか」

佐藤:
「北欧、暮らしの道具店のプロダクトもコンテンツも含めて、この事業をどう伸ばしていくか。その全体に責任を持つ立場ですね。

お客さまに対しては、お店を代表する立場として、これからも『店長』であり続けたい。でも正直、今の自分の役割を『店長』という呼称だけで説明するのは、もう難しくなってきているとも感じています。

最初の一区切りであった10周年のイベントを開催した当時は、まだ「店」としての成長を促すこととそのための「組織づくり」に大奮闘で周年を感慨深く感じる余裕が実はありませんでした。

 

10周年を記念して開催したお客さまとの交流イベント

それが、15年が経った2022年ごろ、『15年も続く事業を育てられたんだな』って初めて自分でもちゃんと実感できたんです。

10周年からの5年間は、本当に濃かった。オリジナルブランドが生まれて、ドラマや映画をつくって、上場準備があって。『北欧、暮らしの道具店って、まだまだ何十年と続いちゃうんじゃないか』って思えたんですよね。そこが、自分の中で覚悟が決まったタイミングでした。

自分と北欧、暮らしの道具店との距離感も変わりました。

店長として前に立つということだけではなく、北欧、暮らしの道具店を永く続く”ブランド”としてどうディレクションしていくか。モノやコトの作り方を、自分だけでなく社内外の関わるメンバーの立ち方も含めて変えていかなければならない、と感じるようになりました。

 

25年には自邸の建築プロセスを、ドキュメンタリー制作

さらには年を重ねるにつれて、何かを語ったときの受け取られ方も変わってきている。そうした自分自身の変化も含めて、それをブランドの中にどう溶け込ませていくかを考えるようになりました」

「数字」と「クリエイティブ」を切り離さない

金:
「事業の責任が増える中で、当然数字を見ることも増えますよね」

佐藤:
「「北欧、暮らしの道具店の『クリエイティブの人』と思われていることも多いのですが、実際は私のカレンダーを見ると、事業の予実管理とそれに伴うECの運営、在庫やお客様動向に関わるデータの確認と意思決定の会議にかなりの時間が費やされているんですよね(笑)。

実を言うと、私は数字を見るのがかなり好きなんです。数字が好きというより、成果が出ることが好き、というほうが近いかもしれません」

金:
「今回、経営直下で予算編成や事業計画を担うポジションも募集していますが、数字を誰かに任せて『佐藤さんはクリエイティブに集中してください』と言われたいわけではない?」

佐藤:
「そうしてしまうと、私の場合、クリエイティブが生まれにくくなるんです。制限があるから、数字があるから、その中でどうやるかを考えるからアイデアが出るタイプなんです。

『この月の事業予算はどうなっているのか』『このタイミングでリリースするのはどんな意味なのか』。そういう前提があってこそ、商品やコンテンツのことを考えられる。数字とクリエイティブは、私の中では切り離せません。

これは単に売上を作りたいということではなく、ちゃんと成果が出てそれが事業の数字にも貢献するということは本質的なことだと思っています。

例えば商品なら、その商品が多くの人に愛され受け入れられ、それが世界中沢山の人の暮らしの中にある状態がつくれるって喜ばしいことじゃないですか。だから私は数字をとても尊いものとして扱っています」

ブランド毀損が起こるのは、いつなのか


「とはいえ、常に数字とブランドとのバランスを取り続けるのは簡単ではなさそうです」

佐藤
「そうですね。短期的に売上を上げる方法なら、正直、いくつも思いつきます。でも、実際は“やらない”“時期を見直そう”と判断をすることも多いんです。

判断軸はふたつ。ひとつはブランド毀損にならないかどうか。『えっ、そんなことやっちゃうんだ』と思わせてしまわないか、という視点です。もちろん、いい意味での驚きなら歓迎ですが。

もうひとつは、約束を守れるかどうか。そもそも、お客さまに約束できるものが見つからない商品や、『どうしてそれを私たちが作るのか』を説明できないものは、売上計画が厳しくなったとしても出しません。

ここは、数字だけにコミットしていい領域ではないと思っています」

 

人気の基礎スキンケアも発売までに5年という長い歳月がかかりました。

金:
「数字だけを見れば、近年業績を上げているオリジナルアパレルをもっと伸ばす、という判断もできる中で、雑貨にも注力し続けていることも関係がありますか」

佐藤:
北欧、暮らしの道具店が暮らしを扱う場所だからこそ、日々の延長線上で足を運んでくださる方がいる。その中で、気になる「服」に出会い、手に取っていただいている。

だから、アパレルが伸びていることは本当に嬉しい。でも同時に、この構造を壊してはいけない、という感覚は強くもっています

お客さまのアパレルへの想いを実感できる場として、「試着会」も開催しました。

成長組織で世界観を保つ、「横串」マネジメント

佐藤自身の役割が変化してきた一方で、組織やそこで働く人たちもまた、少しずつ役割を広げながら成熟の道のりを歩んできました。

佐藤の管掌下には、MD、プライベートブランド開発、メディア編集、ストア編集、コンテンツ開発という、ECとメディアを支える5つのグループがあり、各グループ10名ほど、全社員の約半数が所属しています。

そして、各グループを率いるマネージャーたちが、日々の小さな違和感や気づきを見逃さず、試し、振り返る。その積み重ねによって、「北欧、暮らしの道具店」ならではの世界観が形づくられてきました。

佐藤:
「どの部門も、かなり具体的なところまで、マネージャーと私で一対一で話しています。ただ、それだけだと『佐藤さんと自分の部門だけの話』になってしまう。それは避けたいんです。

だから、私の管掌下のマネージャー全員が集まる場を作って、そこで同じ話をもう一度共有することを意識しています。『ここだけの話』をなくしたい。

これはクラシコムならではかもしれませんが、一見、自チームに直接関係がないようなことでも、把握している情報量が多いほど自律的に動きやすくなると思うんです。

マネージャーたちは本当に、自分のグループの枠を越えて意見を出してくれます。もちろん、『ちょっと待ってね』ということもあります。でも実際は、『ありがとう』『いいね』と言う場面のほうが、ずっと多いんです」

金:
「佐藤さんが全部決めて、全部チェックして、という統括ではないのですね」

佐藤:
「今はもう日々の発信の多くは、私のチェックを経ずに公開されています。

私の仕事は、答えを出すことではなく、『迷うための基準』を渡すことだと思っています。いわば、『ここは気にしてほしい』『ここは外すと危ないかも』という“心配リスト”を、常に最新版にして共有している感覚です。明確なビジョンを持っている時はきちんとフィードバックします。そういう時にただ『任せるね』というのはフェアではない。

ただそれを形にしていく過程において私も分からないことも沢山あるので、かなりの確率で任せています。リスクや方向性はちゃんと見ていますが、その成果を個人に必要以上に追求することはしません」

「判断のリソース」を分け合うフェーズへ

心強いマネージャーやスタッフたちとともに、20年の成長がある。

ただその一方で、事業と組織が大きくなったからこそ、これまでとは異なる課題や問いもはっきりと見えるようになってきています。

金:
マネージャーたちに任せられることも増えてきている中で、今回あえて“経営直下”の採用に踏み切ったのはなぜでしょうか」

佐藤:
「今の北欧、暮らしの道具店は、自分の管掌部門だけをまとめていれば成り立つ、という状態ではないんですよね。ECメディア部門を超えて、アプリの体験設計も、マーケティングも、広告も、すべてが連動して、ひとつの大きな循環を形づくっています。

25年にスマホアプリは500万DLを突破。売上の約8割がアプリ経由になるまでに成長しています。

そして、一つの施策や判断が事業に与える影響は、以前とは比べものにならないほど大きくなっています。その全体を横串で捉えながら、重たい判断を一緒に背負える人が、正直に言えば、もっといて良いと感じています。

私自身も映像コンテンツにおいては自社のIPになるようなフィクション作品や番組については企画製作から出演まで深く関わることもありますし、SNS運用も現場のスタッフとともに試行錯誤を重ねています。でも本来は、それぞれの領域に強みを持つ人にさらに加わってもらい、もっと多くの範囲を高い解像度とスピード感で磨き込んでいくべきフェーズに入っているのではないか。

社内で培ってきたノウハウは、もちろん強みです。でも、私や私たちが積み重ねてきたものの延長線上にある「さらなる景色」に向かう必要があると感じています。
領域を横断しながら、数字と世界観を切り離さずに意思決定を担ってきた方。 成功が約束されていない挑戦にも向き合い、自身で貪欲に情報を集め輪郭を描きながら前進させてきた方。
そういう経験を持つ方が加わってくださったら、本当に心強いと思います。

決して任せて身を引きたいということではありません。むしろ、湧き続ける事業への動機を分かち合いたい、という感覚に近い。
これまで私が担ってきた役割を共有し、異なる視点や経験を持つ方が加わることで、私も、みんなも、もう一段先に挑戦できるはずだと思っています

これからの20年──まだ見ぬ景色が見たい

クラシコムは、未来について多くを語ってこなかった会社かもしれません。いま目の前にいるお客様を大切にし、バランスをとりながら、世界観を積み重ねてきました。

それでも今回は、未来を思って踏み出した採用募集です。しかし、次の20年はどうなるのかという問いに対して、佐藤は「想像がつかない」と率直な想いを話します。

佐藤:
「本音を言えば、今の延長線上で20年後もお客さまに魅力を感じてもらえるブランドであれるかは自信がありません。時代も、物の買い方も、デバイスも、どう変わっているか分からない。

でも、その変化に対応しながら、『あそこ、まだ気になるよね』と言われる存在でいられたらと、強く願っています。

お客さまから、時折いただく『私たちの人生にいてくれてありがとうございます』といったお声が本当にうれしくて

金:
「カンブリア宮殿に出演した際に、『この時代に、北欧、暮らしの道具店があってよかった』と言ってくださったお客さまも印象的でしたね」

佐藤:
「それを目指してきたし、これから先もそこは変わりません。北欧、暮らしの道具店があったことで、生活が少し変わった、人生の中で救われたと言ってもらえる存在でありたい。
なぜなら、そういうものを、誰よりも自分自身が欲しかったから。若い頃、しんどかった自分が本当に欲しかったものをつくっている。その感覚は、きっとこれからも変わらないと思います。

だからこそ、もっと深めていきたい。そう思ってくださるお客さまを、世代を超えて増やしていきたいんです。コンテンツも商品も、実店舗などのリアル展開も、まだまだやりたいことは、私にもみんなにもたくさんありますよね。

この数年、産育休に入るスタッフが常に2割近くいる状況が続いています。私の管掌下のマネージャーが不在になることも少なくありませんでした。正直に言えば、簡単な環境ではありません。でも、こうした状況は特別なことではなく、これからも続いていく前提だと思っています。

その状況のなかでも成長を止めない組織と事業でありたいと、みんなで尽力してきました。そして実際に、歩みを止めずに成長を重ねてこられたことを、本当に誇りに思っています。

クラシコムのスタッフ。現在は、全社員の6割が小学生以下のお子さんを育てています。

だからこそ、この先はもう一歩先に進みたい。

そうした環境のなかでも前に進める手応えを感じられたからこそ、私はいま、自分が担うべき役割にもっと没頭したいと思うんです。

簡単に答えが出る環境ではありません。でも、この20年で社内は十分に成熟の道のりを歩んできた。だからこそ、今回初となる私が見ている領域での経営直下ポジションの採用に踏み切り、みんなでワクワクしながら更なる外からの視点を受け入れたい。

リソースを分け合って、まだ見ぬ景色に行く。それが、今回の採用募集の一番のテーマです」

新しい出会いを楽しみにしています!

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