【スタッフノート】40歳、異業種から転職して感じたクラシコムで働く面白さ

書き手 クラシコム 金
写真 木村文平(1,5枚目)剣持悠大(3枚目)
【スタッフノート】40歳、異業種から転職して感じたクラシコムで働く面白さ

入社3ヶ月で書いた前回に続きまして、半年を振り返るコラムを書くつもりが、7ヶ月が経ってしまいました。

40歳で異業種からの転職、人事なのにフルリモート勤務…… と、側からは「大変だったのでは?」と言われることもあったのですが、個人的には、日々新しい発見をしながら楽しんでいるうちに半年が過ぎたような気持ちです。

そう思えるのはなぜか、せっかくの機会なので振り返ってみたいと思います。

人事の仕事に正解はない、からスタート

人生100年時代とはいえ、40歳での転職は気軽とは言えず、躊躇する方や一大決心をして臨む方もいらっしゃるかなと思います。

私自身も新しいチャレンジは楽しみな一方、新入社員として学び吸収する上で、これまでの思考や価値観が妨げにならないよう、気をつけねばと思っていました。また、これまでのキャリアが人事一筋ではなかった分、人事としてどのような貢献が出来るのだろう?という点もあれこれ考えていました。

そんな気持ちが軽くなったきっかけは、代表の青木との入社前の面談です。青木から「そもそも他社でやっていたこと、考えていたことがクラシコムに合うかどうかは分からないし、気負わずにやってほしい。願いは、健やかな組織を作ること。具体的に何をやってほしいとか出来てほしい、というものはない」と言われ、ハッとし、とても共感したのを覚えています。

転職前は、2社で人事領域に携わってきました。組織の特徴やフェーズによっても人事の役割は異なりますし、それによって経験できること、培われる能力や価値観も違ってきます。一般的な実務経験をポータブルスキルと呼ぶこともできるのかもしれませんが、人事の仕事に正解はなく、組織や人をよく知ることからスタートするという、とても大事なことを改めて考えさせられた面談でした。

とはいえ、世間一般的には「経験者として入社するならば出来て当然」と見られるキャリアや年齢であることも事実。そのように伝えてもらえることに、とてもありがたさを感じながら入社日を迎えました。

成果にまっすぐ注力できる心地よさ

そういったこともあり、年齢や異業種であることの不安はあまり感じることなく転職をしましたが、一つだけ懸念していたことがあります。

それは、自身がユーザーとして「北欧、暮らしの道具店」というお店に抱いていたイメージが、中の人になることで変わってしまうのではないかという点です。

「入社後にギャップを感じることも、ある程度は仕方がない」と自分に言い聞かせながらも、お店を純粋に楽しめなくなるかもしれない……と想像すると悲しい気持ちになり、それだけクラシコムのサービスが自分の生活に影響を与えていたことにも気づかされました。

実際には、入社後にギャップを感じることがなく、むしろ「ギャップが生じにくい」状態を作り続けている、社内の風土や仕組みを目の当たりにしたことで、ますますサービスへの思いが深まっていきました。そして、そういった状態をつくる採用や組織開発は、人事が担う大事な役割でもあるので、とても身が引き締まります……。

そもそも、過去の自分が「ギャップを感じた瞬間」というのは、働く中で感じた矛盾をどう消化しようかヤキモキした時なのかもしれません。

お客様に伝えていることと社内の実態が一致していないかもしれない……
経営と現場の感覚の違いを、マネジメントの立場でどう繋いだらいいか……
短期的な数値成果を上げるためには少々無理をすることが必要になるけれど……

関わる全ての人に誠実でありながら、その時々の最適解を出していくことは、自分自身の未熟さも相まって、簡単なことではなく、エネルギーのいることでした。そして、そういった時ほど、本来出すべき成果から遠ざかっていないだろうか?と自問自答することもありました。

クラシコムでは、自分のかけるべきエネルギーが、そういった「矛盾の消化」に割かれることがなく、まっすぐ出すべき成果に注力できる感覚があります。

そういったクラシコムの「成果にまっすぐフォーカスする風土」が、自分がギャップを感じなかった理由につながっているのかな、と思います。

成果とは、何かしらの数値目標というより、「フィットする暮らし、つくろう」というミッションに照らし合わせて、既存や未来のお客様に何を届けるかを考え続け、アウトプットし続けていくことだと考えているのですが、そのプロセスにおいて、社員もお客様と同じようにワクワクできるかを大事にしているところに、クラシコムの特徴を感じます。

残業をしないワークスタイルの中で、違和感やワクワク感を大事にしながら、納得いくまでとことん話し合う時間的・精神的余裕があることは入社して素直に驚きましたし、効率化できる部分はとことん効率化しているバランスも、とてもクラシコムらしいと感じています。

成果を出す上で阻害要因になりそうなものが見つかったら、仕組みや合理的配慮を通じて一つずつ解消していく。

だからこそ、自身が果たすべき役割が何で、どういう成果にフォーカスすべきかは、これまで以上に深く考えるようになった気がします。

毎日全力で頭と心を使うので、働いている時間は短くなったのに、1日が終わるとヘトヘトです。

新たな自分を知る、恥ずかしさと嬉しさ

▲油断すると、そっくりになる人事2人
(左が筒井、右が私)

違和感やワクワク感を大事にする上で、自分の感情を自覚したり言語化することが必要になるのですが、クラシコムの社員はここがとても上手だなと感じます。

私自身は、入社後、自分の感情を丁寧に自覚して扱うことの奥深さを実感した出来事がありました。

3ヶ月目ぐらいでしょうか。人事の筒井と、ある対応を巡ってやり取りしていた時のこと。「この対応はこうした方がよかったのではないか」と、もっともらしいことを筒井に訴えていたら、筒井から「その通りです。でも、金さん、怖い……」と言われてしまったことがありました。(ちなみに筒井は私よりキャリアが4年下で、お互い新卒時代からの知り合いです)

仕事中に「怖い」なんて言われることは滅多にないので(笑)インパクトのある一言でした。さらっと受け流してはいけないような気がして、その月の1on1で代表の青木に相談したところ「それはいいね!すごくいい。理由はうまく説明できないけど、怖い、って言えたんでしょう。とてもいい!」と言われ、さらに驚きました。

「これは、いいことだったのか。これがクラシコムの価値観なんだな」とぼんやり思いながら、その1on1を終えました。青木からは「コミュニケーションを重ねていけばいいよ」とアドバイスをもらったのですが、その前に、自分の戸惑いを整理する必要がありそうだと考えていたら、あることに気がつきました。

それは、自分がもっともらしいことをあれこれ言っていたけれど、根っこにあった感情は「まだ頼ってもらえていないのかな、信頼してもらっていないのかな」という「寂しさ」だったのだな、ということです。

40歳にもなって「寂しい」という感情を、自分が人にぶつけることがあるんだと気づいた瞬間は、なんとも情けないものです。

でも、これまでの人生で自覚していなかっただけで、実はそんな瞬間がたくさんあったのかもしれないと考えさせられました。親やパートナー、仕事仲間など、身近な人であればあるほど、自分が正しそうなこと、もっともらしいことを言っている時に、その根っこにはもっとシンプルな感情があったような気がします。

そして、キャリアを積むほどに、そういう感情を味わうよりも、状況に合わせて気持ちを素早く切り替え、的確に判断し、指示を出し……といったことに注力してきたのだなということにも気づかされました。

クラシコムに転職し、そんな自分のかっこ悪さと向き合う度に、一巡り恥ずかしさを味わっては晴れやかな気持ちになっています。

他者に分かりやすく説明できる成長ではないけれど、昨日までの自分と今日からの自分では見えている景色が違うような感覚を、この年齢になってからも、何度も味わえることは当たり前ではないような気がして、とてもありがたい気持ちです。

これから入社する皆さんへ

今、クラシコムは定期採用活動の真っ只中です。
1年ぶりの採用活動で全国からの募集だったこともあり、昨年は500名程度だった応募に1500名を超える方々から応募をいただきました。

たくさんの方々が思いを寄せてくださっていることが、本当に心強く、ありがたく、また身が引き締まる思いです。

今回の採用プロセスを通じてご入社いただく方々も、それぞれのオンボーディング期間を過ごしていかれることと思います。皆さんが、どんな風にクラシコムを感じるか、とても楽しみです。

人事としても、一緒に発見を楽しみながら 、それぞれのスタートに寄り添っていきたいと思っています。