【スタッフノート】デザイナーだからできる3つのこと(Oisixコラボイベントレポート)

書き手 クラシコム 筒井
【スタッフノート】デザイナーだからできる3つのこと(Oisixコラボイベントレポート)

こんにちは、クラシコム人事の筒井です。 7月に入って暑い日が続いていますね。私は暑いのが本当に苦手です(出身は九州なのですが)。なので、暗くてじっとりした曲ばかり集めた「雨」プレイリストを聞いて、まだ私だけは梅雨にいると、謎のこだわりを見せています。(ちなみに、学生時代には、失恋した時に聴く用の重い曲を集めた「塩」プレイリストもありました) そんな暗い私とは裏腹に、明るくて素敵なオイシックス・ラ・大地さんと一緒に、6/14(木)にコラボイベントを実施しました。(もう1ヶ月も経ってしまった)

どちらも、お客様のライフスタイルに近いところでビジネスを行なっているという共通点もあり、「これからの暮らし、食卓を豊かにするデザイナーのあり方を共に考えよう」というテーマで、登壇者、参加者共にディスカッションしていくようなイベントでした。 特に「デザイナーの役割」という点において、いいなと思う話が聞けたのでみなさんにもおすそ分けしたいと思います。

デザイナーだからできること①ロジックを凌駕する

▲オイシックス・ラ・大地株式会社 サービス進化室 アートディレクター 福嶋さん

  オイシックスさんでは、どんな職種であろうとロジカルシンキングが超基本中の基本だそうです。

オイシックス福嶋さん ロジックはデザイナーにとっても重要だと考えています。ですが、「デザインは時にロジックを凌駕する」とも考えていて。ロジックを一つずつ詰めていくのではなく、それらを飛び越えていきなり本質にたどり着く。デザインにはそういう力があるんじゃないかと思っています。

  これは私自身も最近よく考えているテーマでした。 クラシコムでは、他の職種のメンバーやクライアントと仕事をしていくにあたり、もやもやとしたカタマリを言語化したり、理論立てて説明するシーンがよくあります。 でも、本当にロジックだけで全てが説明され、解決されるんだろうか? もしかしたら、ロジックツリーでは表しきれない、有機的な領域が存在するかもしれない。 そして、その有機的な存在のままで、本質をつく方法があるかもしれない。 言語化をがんばることは共通認識を持つためにとても良いことですが、カタマリはカタマリのまま受け取ったり、表現したりすることが、実は分解して論理で説明するよりも本質に近いかもしれない。そういう可能性は残しておきたいとも思うのです。 デザイナーはそれをカタマリのまま「表現」できる人たちなので、時にロジックをジャンプして本質に到達する姿ってかっこいいなって思いました。 (領域に限らずですが、なんかうまく説明できないけど絶対これなんだ!!って確信できる時ってないですか?)

デザイナーだからできること②頭の中のイメージを形にして、コミュニケーションができる

▲株式会社クラシコム デザイングループマネージャー/アートディレクター 佐藤

  クラシコム 佐藤からは、アウトプットについてこんな話が出ました。

クラシコム佐藤 「例えば『こんなものが欲しい』とイメージしたとしても、それを他人に伝えようとすると、上手い言葉が見つからなかったりします。「こういう感じ」という微妙なニュアンスを言葉にするのってとても難しいですよね。ですがデザイナーなら、頭の中でイメージしたものをまるっとそのまま、自分の手でビジュアルとしてアウトプットできます。それってデザイナーだからできるコミュニケーションなんですよね」

オイシックス福島さん 「そうですね。「微妙だけど確かな違い」を感じ取って、それを表現できるのもデザイナーの力であり、面白さでもあると思います。」

その微細な差の集積が、①の話に出たような、論理では説明できないような価値を生んだり、心地よさをつくったりするのかな…と思いました。「神は細部に宿る」的に。(その微細な差を受け取れる人に憧れます) 個人的には、微細な差を感じ取れ、表現できる人であるからこそ、時にそれを追求することが許されなかった時に(時間がないとか予算がないとかで)、ものすごくもどかしく、苦しい思いをするのかな、なんても思ったりしました。デザイナーのみなさん、どうでしょう?

デザイナーだからできること③デザインの力を信じ、疑っている

▲福嶋さんがデザインした美味しい野菜ジュース(私は2本飲みました)

  登壇されたお二方は、パッケージデザインに携わることが多かったという話から、商品の見た目についてのお話が出ました。 福嶋さんが売り上げUPを目的に、ある製品のパッケージをリニューアルした時の話。このリニューアルでは、パッケージのグラフィックが新しくなったことよりもむしろ、蓋が開けにくいというご指摘をお客様から多くいただいたそうです。

オイシックス福島さん 「デザイナーとして仕事をしていると、ついついデザイン(=ここでは見た目という意味での狭義のデザイン)の力を過信してしまい、「良いデザインを届ければ、きっとお客様は喜んでくれる」と思い込んでしまいそうになります。 でも、お客様の困りごとを解決するよりも見た目を良くすることを優先すると、「そこじゃないのに」と、かえってお客様の気持ちが離れてしまう、ということを学びました」

クラシコム佐藤 「わかりますクラシコムで運営している「北欧、暮らしの道具店」で扱っている商品は、食品のような生活必需品ではなく、雑貨やアパレル。見た目の良さにフォーカスしても、一見問題はなさそうですが、お客様は日々の暮らしの中で「少しでも、より良く生きたい」と切実に願っている方たち。そういう切実な願いを叶えるためには、見た目の良さだけではなく、使い勝手や機能性も重要なんですよね」

お二方とも、お客様にとっての本当の価値を見極め、その上で、デザインにはその価値を作りだす力があると信じてものづくりをされているとのことでした。

▲会場では参加者も一緒に考え、グループディスカッションをしました。

  デザインの外側にいるような私にとっては、とても乱暴な言い方をすると、「デザイン良くしたら売れるんでしょ?!」的な、デザインの力に妄信的になるか、逆に、「本当に大事なのは製品本体の質なんだからね」と最初っからその力を疑うかしかできないかもしれません。 個人的には、この話が人事である自分の仕事にも通じるなと感じていて。 特定領域の専門性を持っているからこそ、その威力も知っているし、だからといってそれだけで全てを解決できる訳ではないということを、冷静な目線でわかっている。 それって、その威力のある武器をうまく知って使いこなしているプロなんだなという印象を受けました。

▲当日モデレーターを務めた私。会場は終始アットホームな雰囲気で、みなさんとのおしゃべりはとても楽しかったです!

  みなさんにとっての、デザイナーだからこそできること、何ですか?