「北欧、暮らしの道具店」のノウハウを活用して、企業のマーケティング支援を行う「BRAND SOLUTION(ブランドソリューション)」。
お取り組み担当者インタビューでは、BRAND SOLUTIONのクライアント企業が当初抱えていた課題や、取り組みを通じての気づきなどについて振り返っていただきます。
今回お話を伺ったのは、ロート製薬株式会社の奈良 朱里さん。
2019年以降、「肌ラボ」の極潤シリーズにて、過去の2回は記事コンテンツ(BRAND NOTE)、そして2022年4月には、動画(BRAND MOVIE)で「肌ラボ 極潤ヒアルロン液」の愛用者の声をお届けしました。
お取り組みの当初「北欧、暮らしの道具店」に期待されていたこととは。動画ならではの商品の訴求ポイントとは。クラシコム高松が、お聞きしました。
※この取材は2022年9月に実施しました。
(写真右から)
ロート製薬株式会社
広報・CSV推進部 PRグループ
奈良 朱里さん
株式会社クラシコム
ブランドソリューショングループ プランナー
高松 宏美
スペックを語らずに、ストーリーでブランドの信頼を得る
高松
まずは「肌ラボ」のブランドコンセプトと「極潤ヒアルロン液(以下、極潤)」の特徴について、教えていただけますか。
奈良
「肌ラボ」は、「眼」を研究してきたロート製薬ならではの発想から2004年に誕生した、ヘルススキンケアブランドです。コンセプトは、“すべての人の素肌の健康を叶えること”、そして“パーフェクトシンプル”。
パーフェクトシンプルとは、いわゆる“簡素”のようなシンプルさではなく、肌に本当に必要なものだけにこだわって、処方や中身などを作り上げる“こだわりぬいたシンプル”という思いがこめられています。
そんな肌ラボの第一弾商品として発売したのが「極潤」です。私たちが長年研究しているヒアルロン酸にこだわり、さらに無香料、無着色、オイルフリーなど5つのフリー処方を実現しました。敏感肌の方の協力によるパッチテスト済みであることから、小さなお子さまからお年寄りの方まで、幅広い年代や肌質の方に愛用いただいています。
高松
2019年「北欧、暮らしの道具店」で初回のお取り組みをさせていただく際は「リーズナブルな価格の商品とは思えないほどのこだわりの数々を知ってほしい」「一度離れてしまったお客さまに再び使ってもらいたい」と、ブランドコミュニケーションの課題についてお話してくださいました。
奈良
そうですね。弊社は医薬品を製造していることもあり、品質には特に強いこだわりを持っています。極潤もその一つで、リーズナブルな価格でも品質には非常にこだわって製造しているのですが、いい意味でも悪い意味でも「大衆的なイメージ」がありました。また、発売開始から6回もリニューアルを重ね常に進化をしているのですが、発売当時の「ベタベタする使用感」などのイメージが強く残っている方も多いと考えており、過去に使っていた方へどのようにアプローチすべきかも、悩みのひとつでした。
極潤は、世代を超えてご愛用いただけますし、ライフステージが変わっても長く使い続けられる。こうしたメッセージをきちんと伝えた上で、一家に一本置いてあるような、暮らしに寄り添う商品を目指せたら。そんなふうに今後のコミュニケーションを考えていた頃、「北欧、暮らしの道具店」との取り組みを検討し始めたんです。
高松
数あるお取り組み先の中から「北欧、暮らしの道具店」を選んでくださった理由を教えていただけますか。
奈良
お客さまの暮らしに商品が溶け込んでいる様子を、自然に演出してくださるパートナーを考えた時に「北欧、暮らしの道具店」が思い浮かびました。ブランドのコンセプトや開発の信念といった、スペック以外の部分を紐解いて、私たちも気づかないような魅力を引き出してくださるだろうという期待が大きかったです。
高松
過去にも、極潤の利用シーンや使い心地など、お客さまの日常に寄り添うようなメッセージを積極的に発信されてきたのですか?
奈良
チャレンジはしていましたが、例えば、テレビCMのような限られた時間の中で、それらを伝えきるのは難しく、これまでと違ったアプローチの必要性を感じていました。
ただ、どんなにすてきな演出で、商品が暮らしに溶け込む様子を伝えたとしても、それが私たちの言葉だけになってしまうと、押し付けがましくなる懸念もあります。だからこそ、信頼できる第三者による、新しいお客さまとの関係づくりを模索していました。
その点「北欧、暮らしの道具店」は、絶妙なバランス感覚を持っていますよね。お客さまの目線にとことん寄り添い、広告色の薄いコンテンツに仕上げてくださる。
高松
ありがとうございます。実は、初回の取り組みが決まった頃は「北欧、暮らしの道具店」でスキンケア商品とのお取り組みはまだまだ少なかったんです。
私たちにとっても、外部出演者に出ていただいた極潤とのお取り組みは、新しいチャレンジだったんです。
▲初回の記事「スキンケアにも『ベーシック』という選択肢を見つけられたら」 では、整理収納コンサルタントの本多さおりさんにご登場いただき、使い心地や暮らしに溶け込む様子をご自身の言葉で語っていただきました
初回の取り組み後、お客さまからアンケートで700件もの回答をいただき「商品を使いたい」と答えてくださった方が95%と、大きな反響をいただく結果となりました。「北欧、暮らしの道具店」のお客さまは、賢くモノ選びをされる方が多くいらっしゃるので、理想的な利用シーンを単純にアピールするだけでは手にとってくださらない。そんな厳しい目を持つ方々にも、「極潤は信頼できる」と認めていただけたような気がして、私たちもホッとしました。
奈良
あらためて、「北欧、暮らしの道具店」におまかせして良かったなと感じています。「スペックを語らずに、ブランドの信頼を得る」と言葉にするのは簡単でも実行するのはとても難しい中で、それをやり遂げてくださいました。
極潤の品質は、みなさんに胸を張っておすすめできますが、そのままスペックを語ってお客さまを説得するのではなく、“パーフェクトシンプル”というコンセプトを、ごく自然なものとして伝えたい。こんな難しい注文に答えてくださったからこそ、1回で終わらずに、お取り組みを継続しようと決めました。
動画に挑戦して得られた、新たな気づき
高松
これまで記事コンテンツでお取り組みをさせていただきましたが、2022年に初めて、動画を制作しました。制作の当初、何か不安に感じていたことはありましたか?
奈良
過去のタイアップ記事にとても満足していたので、動画のクオリティについては、不安はほとんどありませんでした。あえて挙げるとしたら、コンセプトを動画で表現していただくにあたり、「シンプル」が「簡素」や「質素」といったネガティブなイメージに映るのではないか? という懸念がありました。
でも、そうした懸念も伝えた上で、ディスカッションを重ね、私たちが動画で伝えたいことをきちんと理解してくださいました。完成した動画では、極潤の伝えたい「シンプル」が「本質を追求した結果シンプル」であると一目で伝わるよう、随所で表現してくださっていたので、非常に安心しました。
高松
今回の制作プロセスでは、記事よりもさらに多くの時間をかけて、意見やアイデアを出し合い、お客さまへ伝えるべきメッセージを研ぎ澄ましていきました。動画に挑戦されてみて、記事にはない「良さ」も感じられましたか?
奈良
動画は、話す言葉のトーンや生活音がそのまま反映されるので、商品が暮らしに溶け込む様子が、ダイレクトに伝わるように感じました。さらに、極潤を愛用いただいている本多さんならではの言葉選びや使い方を自然なかたちで映像に収めてくださったおかげで、商品の良さを、リアリティをもって伝えられたかと思います。
高松
本多さんが極潤ヒアルロン液のポンプタイプを愛用されていたこともあり「動画では、ボトルタイプではなくポンプタイプをご紹介したい」と提案させていただきました。
奈良
ポンプタイプの訴求に絞った動画は、初めての試みだったと思います。どんなシーンで使うか? どんな場所に置くか? そういった情報が、パッと目に飛び込んでくるので、ポンプタイプと動画の相性は非常に良かったと思います。まさに狙い通りですね。
▲動画では、何気ない日常の一部として極潤が登場する
高松
動画を視聴された方のアンケートでも「ポンプタイプがあるなんて、知らなかった」「ポンプタイプがあるなら使ってみたい」という声がありました。
奈良
そうなんです。今回、本多さんが実際に使ってくださる姿を動画で観て、ポンプタイプならではの良さを改めて実感することができました。
例えば、ポンプなら手にとってフタを開けるアクションが不要だったり、家事の導線に置くことで気軽にスキンケアができたり。動画を通じて、お客さまがポンプタイプを生活の中で実際にお使いいただく様子をリアルに想像することができ、まだまだポンプタイプには、可能性がたくさんあると私たちも自信になりました。
愛用者の声に耳を傾け、進化し続ける定番を目指す
高松
今回の成果としては、YouTubeのオーガニックの視聴完了率が36.9%と非常に高かったのが印象的でした。
奈良
ありがとうございます。今回の動画を観た社員が、「極潤は本多さんのようなシンプルでていねいな暮らしをされている方とこんなに相性がいいんだね」と驚いていました。数字だけでなく、肌ラボシリーズと動画の相性の良さに気づくことができたのは、ブランドとして大きな資産になったと思います。
高松
動画でもお伝えした家事の合間にスキンケアをしてくださっている場面や、祖母・母・子と4世代で日常的に使っていらっしゃることなど、本多さんは事前取材の段階で、極潤の魅力を存分に語ってくださっていたんです。逆に、お届けしたいエピソードがたくさんありすぎて、約3分に収めるのがとても大変でした。
奈良
愛用者のリアルな声を、こぼさずキャッチして「北欧、暮らしの道具店」のお客さまへお届けできたという点において、動画を選んで大正解でした。
動画の中で「迷いたくない、ゆらぎたくないから、シンプルなものを選ぶ」など、私たちが伝えたかったメッセージを本多さんが代弁してくださっていましたよね。台本ではなく、率直な言葉で語っていただけたことも、説得力に繋がったのかもしれません。
振り返ってみると、これまでにない発見が多かったので、今回、動画にチャレンジしてみて良かったと思っています。
高松
では最後に、「肌ラボ」ブランドの今後の展望についてお聞かせください。
奈良
冒頭でもお伝えした通り、肌ラボは、すべての人の素肌の健康を追求して、製薬会社にしか作れないスキンケアアイテムを作ろうというコンセプトで誕生しました。その想いはこれからもずっと変わらないところです。
「今日も自分らしい素肌でいられて嬉しい」と商品を通じ感じていただけるよう、幅広いお客さまが、毎日、健やかに使用できる商品づくりのために努力していきたい。そして「一家に一本、極潤」のような身近で安心できる存在として、“進化し続ける定番”を目指したいです。
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