2022.08.09

再生完了率70%超え!多くの共感を生んだJINSと「チャポンと行こう!」の取り組みは、どのように生まれたのか?

書き手 野本纏花
写真 木村文平
再生完了率70%超え!多くの共感を生んだJINSと「チャポンと行こう!」の取り組みは、どのように生まれたのか?

「北欧、暮らしの道具店」のノウハウを活用して、企業のマーケティング支援を行う「BRAND SOLUTION(ブランドソリューション)」。

お取り組み担当者インタビューでは、BRAND SOLUTIONのクライアント企業が当初抱えていた課題や、取り組みを通じての気づきなどについて振り返っていただきます。

今回お話を伺ったのは、株式会社ジンズ(以下JINS)の稲穂 早紀さん。

2022年4月、「北欧、暮らしの道具店」のポッドキャスト番組「チャポンと行こう!」で、スウェーデン生まれのアーティストMarianne Hallberg(マリアンヌ・ハルバーグ)とのコラボレーションモデル「JINS×Marianne Hallberg」のタイアップコンテンツを配信しました。

メガネというモノの価値を、音声コンテンツでどのように伝えたかったのか、なぜ「チャポンと行こう!」を選んだのか。クラシコム高山が、お聞きしました。

※この取材は2022年7月に実施しました。

(写真右から)
株式会社ジンズ 商品マーケティング本部 
コミュニケーション部 プロモーション課
稲穂早紀さん

株式会社クラシコム
取締役 事業開発部 部長
高山達哉

メガネのプロモーションに音声メディアを選んだわけ

高山
まずは「JINS×Marianne Hallberg」の企画背景を教えていただけますか?

稲穂
「JINS×Marianne Hallberg」は、リサ・ラーソンさんをはじめ、さまざまなアーティストが所属するTONKACHIさんとの取り組みで、今回が第3弾となります。マリアンヌさんも含め、3回とも女性アーティストとのコラボレーションで、デザイン性の高いメガネだけでなく、彼女たちの生き方や作品に対する姿勢から導き出した“情緒的価値を”一緒にお届けしたいという想いで始まった企画でした。

高山
メガネという商品の魅力だけでなく、共感できるメッセージまで、お客さまへ伝えようと考えられたんですね。今回、「チャポンと行こう!」でタイアップコンテンツを制作させていただきましたが、そもそもメガネをプロモーションするのに、音声メディアを活用しようと思われたのは、なぜだったのでしょうか。

稲穂
今の世の中は、さまざまなチャネルがあって、情報量が多すぎるじゃないですか。受け手の方も、もうお腹いっぱいなのではないかな、と思うんです。これまでのTONKACHIさんとJINSのコラボレーション企画では、テキストのインタビューコンテンツを通じて情緒的価値をお届けしてきたのですが、たくさんある選択肢の中で私たちのメッセージをしっかり受け取ってもらうには、もうひと工夫する必要があるのではないか、と感じたからです。

高山
世の中に溢れている情報に埋もれない、メッセージの届け方を模索されていたんですね。とはいえ、数あるメディアの中で「チャポンと行こう!」に興味を持っていただいた一番の理由は、何でしたか?

稲穂
実は私、このお取り組みをする以前から、チャポラー(「チャポンと行こう!」のリスナー)なんです。コロナ禍で家にいる時間が長くなって、家事をしながら聴くようになりました。ポッドキャストって、“ながら聴き”できるのが、すごくいいですよね。時間を拘束することなく、スッと生活に馴染んでいく。

また、今回コラボレーションしたマリアンヌさんは、スウェーデン生まれのアーティストでしたし、想定していたお客さま像のひとつである「北欧デザインが好きな方」とチャポラーには重なるところが多いだろうと考えました。

高山
稲穂さんが、お取り組み以前からチャポラーだったとは、驚きました!

稲穂
他にも「北欧、暮らしの道具店」は、ポッドキャスト番組の他にも、オリジナル短編ドラマや、オリジナルドキュメンタリーなど、さまざまなコンテンツを配信されていますよね。そのすべてを通じて「ふつうの毎日を大切にしよう」みたいな一貫性のあるメッセージを、お客さまへお届けしていらっしゃる。1つの価値観を、いろいろな形で、ていねいに積み重ねて、発信していく姿勢にも共感していたんです。

今回の企画では「あたりまえを、愛そう」というコンセプトを掲げていたので、共通した姿勢を持つ「北欧、暮らしの道具店」と一緒にコンテンツを作れば、お客様に伝えたい「情緒的価値」を届けることができるのではないか、という期待がありました。

多くのお客さまへ届いた「あたりまえを、愛そう」のメッセージ

高山
今回のコンセプトに「あたりまえを、愛そう」を掲げた理由を教えていただけますか?

稲穂
マリアンヌさんは「日常生活に転がっている何でもないもの」をモチーフに、平面を立ち上げたような陶器を作り上げるアーティストです。たとえば「隣の家で飼われていた犬」とか「好きだった香水の瓶」とか。そんな日常に溢れるあたりまえを愛でる彼女の生き方や、彼女の作品が紡ぎ出すストーリーを表現しました。

高山
なるほど。今回、初めてのポッドキャストのタイアップで、何か不安に感じていたことはありましたか?

稲穂
そうですね。いち視聴者として考えたときに「『SPONSORED』と付いていることで、聞いてもらえなかったらどうしよう」という不安は多少なりともありました。結果的には、取り越し苦労だったんですけどね。

高山
Spotifyのエピソード別デイリーランキングで13位を獲得しましたからね。Spotifyでの再生完了率も71%と非常に高い数字となりました。これは、「チャポンと行こう!」の通常回と比べても高い数字です。

チャポラーのみなさんへのアンケートでも「『あたりまえを、愛する』ことについて、考えたくなりました」「私にとって、『あたりまえを、愛する』とは、こんなことです」など、熱量の高い感想をたくさんいただきました。


▲「JINS×Marianne Hallberg」特設ページ内に掲載されている「チャポンと行こう!」のタイアップ回

稲穂
そこがうれしいですよね。お客さまへメッセージをお届けするだけでなく、「あたりまえを、愛する」を考えるきっかけまで作れたことに、手応えを感じました。

弊社でもアクセス解析をしたところ、「北欧、暮らしの道具店」経由の来訪者数の約8割は弊社のサイトを訪問したことのない新しいお客さまでした。新しいお客さまと接点を持つことは、今回のような企画の大きな役割のひとつなので、いい結果が得られてホッとしました。

高山
再生回数について、当初4万回を想定していたのに対し、6.2万回まで伸びましたね。再生完了率の高さだけでなく、量的指標となる再生回数も伸びたことは、私たちもとても嬉しかったです。

稲穂
もともと「JINS×Marianne Hallberg」のプロモーション戦略は「商品の魅力を伝える施策」と「価値観を伝える施策」の2つに役割を分けていました。「チャポンと行こう!」は価値観を伝えることに集中したので、それがよい結果につながったのかもしれません。

コンテキストが同じだからこそ共感が生まれた

高山
今回のお取り組みは、「チャポンと行こう!」の通常回と同じような構成で「北欧、暮らしの道具店」店長の佐藤とスタッフのよしべこと青木が、チャポラーのみなさんのおたよりを読んだり、自身の経験談を語ったりして、極めて通常回と近い内容にさせていただきました。価値観を伝えることに重きを置かれていたとはいえ、そこに対する懸念はありませんでしたか?

稲穂
そこは特に気になりませんでした。むしろ、番組タイトルをご提案いただいたときに「あたりまえを、愛そう」をそのまま引っ張ってくるのではなく「日常のなかにある、ささやかな幸せのタネ」という「北欧、暮らしの道具店」ならではの言葉に置き換えてくださっていることに感動しました。「これならチャポラーのみなさんにも、いつもの流れで自然に楽しんでいただけるだろう」と安心したくらいです。

実際、番組の中でも、JINSからのメッセージを読み上げるのではなく、佐藤さんと青木さんがそれぞれご自身の言葉でメガネの魅力を表現していただけたのが、とてもよかったです。

高山
今回の番組構成は、僕らにとっても新しい試みでした。

まずは「クラシコムとしてなぜ『あたりまえを、愛そう』というメッセージをリスナーさんに届けたいのか」と、佐藤と青木と一緒に深掘りするところから始めたのが、よかったのかもしれないですね。

その中で、クラシコムのミッションである「フィットする暮らし、つくろう。」と、「あたりまえを、愛そう」には「自分らしく生きよう」という共通したメッセージがあると気づいたんです。この親和性の高さが、自然なコンテンツ作りにつながったように思います。

稲穂
まさにそうですね。番組中で読まれたおたよりも、JINSの番組のために集められたものではなくて、これまでの「チャポンと行こう!」に届いたおたよりの中からピックアップされたと聞いて、驚きました。

高山
それだけコンテキストが同じだったということですよね。番組の中で、佐藤から「新しいメガネをかけることは、世の中の見え方を変えることにもつながる」みたいな発言が自然と出たじゃないですか。

あれも日頃から「『北欧、暮らしの道具店』のコンテンツを通じて、自分の暮らしを見つめ直すことで、『今の自分って、なんかいいかも』と思ってもらいたいよね」という会話をしていたからパッと出たんだと思うんです。

稲穂
たしかに。かっちりとした脚本があったわけではないので、普段から考えていることでないと、あんなふうに咄嗟には出てこないですよね。

高山
今回、JINSのWebサイト内にある「あたりまえを、愛そう」をテーマにしたインタビューコンテンツ「― STAY MYSELF ―」の中で、佐藤と青木も登場させていただきましたが、今後もまたこのようなコラボレーションができたらいいですね。


「北欧、暮らしの道具店」店長佐藤のインタビュー

稲穂
今回、お取り組みを通して、やはり情緒的価値の発信は、同じメッセージを繰り返し伝え続けなければならないと痛感しました。メガネは買い替えサイクルが約2年と長い商品なので、次のタイミングが来るときにJINSを選んでもらうためには、お客さまと継続的にコミュニケーションをとることが、とても大切だと考えています。また機会があれば、ぜひよろしくお願いします。

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「あたりまえ」だからこそ大事にしたい、日常の瞬間って? 「チャポンと行こう!」第105夜 [SPONSORED] はこちらよりご視聴いただけます。

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「北欧、暮らしの道具店」を運営する株式会社クラシコムの「BRAND SOLUTION(ブランドソリューション)」では、企業のマーケティング担当者のみなさまと知見を共有するための記事配信・イベント開催などを行なっています。

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