酒巻 真琴さん
サントリービール株式会社 マーケティング本部 ブランド戦略部
大学卒業後、2001年にサントリービール株式会社へ入社。缶チューハイやノンアルコールカクテル「のんある気分」などのマーケティングにかかわったのち、1年前からオールフリーの担当としてブランド育成に携わっている。休日はジムで体を動かしてストレス発散するのがしあわせ。
ビール離れが進んでいても、ビールにしかない魅力はきっとある
——「オールフリー」が発売されたきっかけを教えてください。
酒巻真琴さん(以下、酒巻) きっかけは、日本人のビール離れです。20年ほど前からビールを飲む人は少しずつ減っているんですね。でも改めてみてみると、ビールを飲む人が減っているとはいえ市場の規模としてはコーラの約3倍もあるんですよ。
つまり、徐々に飲む人は減ってきてはいるけれど、独特の苦味だったりのどごしだったり、仕事終わりに一杯!という気分だったり、ビールにしかない魅力があるんだと考えていました。
当時、ノンアルコールビールテイスト飲料が注目されていたこともあって「お客様がビール味をもっと気兼ねなく楽しめる飲み物を作ろう」と開発を重ね、2010年に発売しました。
——「オールフリー」ならではの味のこだわりはありますか?
酒巻 ビールと同じ原料を使っていることが強いこだわりです。粒選り麦芽100%を天然水で仕込み、一番麦汁だけを使うことで、うまみがありながらのどごしの良いおいしいビール味を実現しています。
アルコールなしにビール味を作りあげることは本当に難しくて…。「もっとおいしくするために」と知恵を絞っています。また、幅広い方に楽しんでいただけるよう、「オールフリー」に加え、フルーティーな「同 コラーゲン」、キリッと爽快な「同 ライムショット」の3種類を展開しています。
「オールフリー」は単なるビールの代わりじゃない。いつどこでも楽しめる自由なノンアルコールビールテイスト飲料
——「オールフリー」からは、ビールを我慢する代わりに飲むというより、ビール味を楽しもうという前向きな空気感が伝わってきます。
酒巻 きっと今までのノンアルコール飲料って「運転する必要がある」とか「授乳中で」とか、ビールの代わりにしかたなく飲むのが一般的だったと思うんです。でも、オールフリーはビールの味や気分そのものをもっと自由に楽しんでもらいたいです。
——たとえば、どういったシーンで飲まれることが多いんでしょうか。
酒巻 一番多いのは夕食で「平日は翌日に備えて『オールフリー』で気分を楽しんで、週末はビールを」など飲み分けをしている方が多いようです。あと最近増えているのは、週末の昼間ですね。青空の下、ピクニック気分で飲んだり。
——昼間から飲めるってうれしいですよね。店頭で見かけた時にパッケージデザインもすごく素敵だなと思いました。
酒巻 通常、ビールのイメージは銀色や男性的なデザインが多い中であえて白色にこだわりました。社内では反対意見もあったようですが、いつでもどこでも楽しめる自由さを表現したくてこのパッケージにしました。
きっとこのパッケージであれば、昼からでも気兼ねなく「オールフリー」を楽しめると思います。サントリーの社内や一部の企業様では「オールフリー」専用の自動販売機を置いていて、仕事の合間に飲んだりしているんですよ(笑)
——仕事中に飲むんですか。最高ですね!
酒巻 社内で打ち合わせをする時はお客様に「オールフリー」をお出しすることもあります。場の雰囲気をやわらかくする力があると思うので、ぜひ皆さんにもおすすめしたいです。
氷を入れるなんて?!きっかけは会議室で生まれた
酒巻 あと最近、“氷でキンキン!オールフリー”というのが人気です。
——もしかして「オールフリー」に氷を入れるんですか…?
酒巻 そうなんです。皆さん最初は「本当においしいの?」と半信半疑なんですけれど、もともと麦のうまみや香りがきちんとあるので、氷を入れることで味がはっきりと感じられるというお声もいただきます。暑い日に飲むとすごく気持ち良いですよ。
——氷を入れるというアイデアはどこから生まれたのでしょう?
酒巻 もともと「オールフリー」のおいしい飲み方はないかなと打ち合わせしていたんです。その話をする会議室のエアコンが夕方になると止まって、すごく暑いんですよ。
暑くてたまらない…という時に「ちょっと氷入れて飲んでみるか」と氷を入れたら、意外とスッキリ飲めておいしかった。きっかけって案外、そんなものですよね(笑)
——ちなみに、酒巻さんがおすすめする「オールフリー」の飲み方を教えてください。
酒巻 一番のおすすめは休日の晴れた昼間、ベランダで飲むことです。例えば、ジムで走って家に帰ってきてシャワーを浴びて。サンドイッチや簡単なランチを用意して「オールフリー」を飲むと「ふわぁー気持ちいいー!」ってなります(笑)
良い意味でビールにとらわれすぎず、あらたな楽しみ方を探していく
——「オールフリー」の今後の展望などがあれば、お伺いしたいです。
酒巻 まだノンアルコールビールテイスト飲料を飲んだことのない方や、昔、飲んでおいしくなかったから二度と飲まない、という方がいると思っています。そういう方々に一度で良いからぜひ「オールフリー」を飲んでもらいたいです。
——飲んでもらうために工夫していることはありますか?
酒巻 一つが“氷でキンキン!オールフリー”のようなあたらしい提案です。あらたな切り口を加えると「おもしろそうだから、飲んでみよう」というきっかけになりますよね。
あと、昼間や打ち合わせなど「普段この場面でビールは飲まないけど、ビール味があると楽しいかも」というシーンはまだまだあると思っています。それを発見して、「オールフリー」を楽しむ場面をもっと提案していきたいと思います。
「オールフリー」というネーミングのとおり、枠にとらわれない自由さを大切にしています。良い意味でビールっぽすぎないというか…。ビール味としてのおいしさにはこだわりながら、一方で今までのビール像にとらわれることなくいたいですね。