2022.04.28

長く読まれるコンテンツは資産になる。キヤノン「PowerShot PICK」「SELPHY」が取り組みを通じて得た収穫とは

書き手 阿部 花恵
写真 木村 文平(6,7,8枚目以外)
長く読まれるコンテンツは資産になる。キヤノン「PowerShot PICK」「SELPHY」が取り組みを通じて得た収穫とは

お取り組み企業担当者様インタビューでは、当初抱えていた課題やクラシコムと一緒に取り組んだことで得た気づきなどを担当プランナーと一緒に振り返っています。

今回お話を伺ったのは、人の顔を自動で認識・撮影してくれる自動撮影カメラ「PowerShot PICK(パワーショット ピック)」ご担当の杉森友貴さん、ミニフォトプリンター「SELPHY(セルフィー)」担当者の大屋和美さんです。

2021年11月に発売された新製品「PowerShot PICK」と、今やロングセラー商品となった「SELPHY(セルフィー)」、2製品を組み合わせてのプロモーションの場としてBRAND NOTEを選んだ理由とは?

「PowerShot PICK」発売直後のタイミングと合わせたお取り組みとその後の反響について、お話を伺いました。聞き手は、クラシコムプランナーの高松です。

(写真左から)
キヤノンマーケティングジャパン株式会社
コンスーマ事業戦略本部 コンスーマ新規ビジネス企画部 コンスーマ新規ビジネス企画課
杉森友貴さん:PowerShot PICK担当

キヤノンマーケティングジャパン株式会社
コンスーマ事業戦略本部 コンスーマ新規ビジネス企画部 ichikara Lab
大屋和美さん:SELPHY担当

株式会社クラシコム 事業開発部 ブランドソリューショングループ プランナー
高松宏美

まだ市場がない新製品をどうプロモーションするか

高松
今回は「PowerShot PICK」と「SELPHY」、2製品を組み合わせてのお取り組みについて、率直な感想をお聞きしたいと思います。まずは新製品PowerShot PICKについて簡単にご説明いただけますか。

杉森 
PowerShot PICKは置いておくだけで人の顔や動きに反応し、最適なタイミングで自動撮影してくれるまったく新しいコンセプトのカメラです。

開発者の一人は子育て中のパパなのですが、「子どもの自然な姿を撮りたい」「子どもの写真は多いけど自分と子どもが一緒に写っている写真が少ない」と感じていたそうなんですね。そういった悩みを解決できる機能を搭載したカメラをつくろう、というところから開発が始まりました。

カメラ自身が「見つける」「理解する」「撮る」を実行できるようにするために、キヤノンがこれまで培ってきた自動顔認識や自動構図調整の技術をコンパクトなボディに結集させています。

高松
初めて見たとき、想像以上の小ささにびっくりしました。どこに置いてもすっと馴染むかわいらしい存在感ですよね。

杉森
この手のひらサイズに収めるための機能の取捨選択は大変だったと聞いています。全体のフォルムは、監視カメラ感が出ないように、猫の後ろ姿のようなかわいらしいカーブを意識して設計しています。

高松
黒と白の2色展開で、インテリアの雰囲気に合わせて選べるのも嬉しいですね。では、SELPHYについても教えてください。

大屋
「SELPHY」は2004年に誕生したフォトプリンターです。その前の2001年頃にもシリーズ元祖ともいえる製品が発売されていますので、キヤノンのフォトプリンターとしての歴史はもう20年以上になりますね。

大屋
当時、コンパクトデジタルカメラ市場がどんどん盛り上がりをみせるなか、「カメラから直接写真をプリントできるフォトプリンター」で、家庭でも気軽に写真プリントを楽しんでもらいたい、という思いで誕生したのがSELf PHotographY、”SELPHY”です。
これまで時代とともにアップデートを重ねて、いろんな楽しみ方をご提案してきました。

高松
ありがとうございます。では、昨年11月のPowerShot PICK発売ではどのようなプロモーション施策を行ってきたのでしょうか。

杉森
一番大きいところでは、21年2月に行ったクラウドファンディングサイト「Makuake」での先行販売プロジェクトです。受付開始からわずか4日で1億円を達成するという当時の最速記録を打ち出して、大勢の方々にご支持をいただけました。

ですが、PowerShot PICKはまったく新しいコンセプトのカメラですから、まだ市場が形成されていません。ですから、まずは認知を広げて、興味を持っていただきたい。そんな中で、さまざまな施策を行いましたが、「北欧、暮らしの道具店」さんとだったらより深い訴求ができるのでは、という思いから今回ご一緒させていただきました。

「北欧、暮らしの道具店」さんとは過去にもいろいろとお取り組みさせていただきましたが、そのときも深く丁寧に、ユーザーに適した内容でしっかりと訴求していただけましたので。

▲SELPHYとはこれまでに2回お取り組みを実施

大屋
前回、SELPHYがご一緒した「BRAND NOTE」もすごく素敵な記事に仕上げていただきましたよね。商品のスペックをただ出すのではなく、皆さんの暮らしがこんな風に豊かに、楽しめるようになりますよ、という見せ方をしていただけたので、今回も期待していました。

高松
ありがとうございます。今回は、「PowerShot PICK」と「SELPHY」、2つの製品を合わせて撮影からプリントまでをそれぞれ違う2本の記事で見せる、という形でご要望いただきました。一緒に伝えていくことは両ブランドにとっても初めての試みだと伺いましたが、その背景についてもお伺いできますか。

大屋
SELPHYは画質の良さに定評がありますので、以前から子育て層の方にもご支持をいただいているんですね。PowerShot PICKも同じく家族に寄り添って気軽にフォトライフを楽しめるという製品ですから、両者をあわせた記事をつくることで、撮影から出力までの工程というキヤノンの強みをあらためて訴求できるのではと考えました。

杉森
10年後、20年後にプリントした写真を見る時間ってすごく貴重でプライスレスなものですよね。その一連の流れの体験価値をしっかりと提供していくためにも、2製品一緒に出すのがベストでは、という判断です。

長く読まれるコンテンツは資産になる

高松
記事ではお子さんがいる2家族にそれぞれPowerShot PICKとSELPHYを実際に使っていただきましたが、いかがでしたか?

杉森
赤ちゃんとご両親、6歳の娘さんとお母様。それぞれ異なるステージの2家族にご登場いただくことで、それぞれに応じた使い方を見せていただいたと思っています。同時期に様々なタイアップを行いましたが、「北欧、暮らしの道具店」さんの記事は直帰率が低かったです。読み物として最後まで読んでいただける構成でユーザーさんに寄り添った記事に仕上げていただけたからだと思います。

初めてPICKを知るユーザー様向け、興味があるユーザー様向け、などいろんなタイプの記事を出していく必要性も実感しました。

「北欧、暮らしの道具店」さんの記事は、今後もいろんなユーザーさんに長く見ていただける内容になっているのが強みですよね。商品を検討して、深く理解するコンテンツとして、今後も公式サイトでは引き続きBRAND NOTEへのリンクを掲載させていただく予定です。

高松
記事を活用いただけるのはとても嬉しいです。コンテンツは資産としてずっと残るものですから、長いスパンで見て売上という成果につながっていけたら嬉しいなと私達としても思っています。

大屋
SELPHYも世界観のブランディング、コンテンツという資産という意味で、すごくいい記事にしていただけたと思っています。PowerShot PICKと一緒のプロモーション第一弾ということで、この記事をきっかけに興味を持って量販店に見に行っていただけたら嬉しいですね。

高松
たとえば、今回の記事をリーフレットにして活用することもできますので、そういった活用法も今後、検討していけると良さそうですね。記事を読んだ読者からのアンケートの感想などはいかがでしたか。

杉森
これは「北欧、暮らしの道具店」さんのユーザーさんの特性なのか、それとも子育て中のパパ・ママの本音なのかわかりませんが、「わが子の自然な表情を撮りたい」という声が多かったのが印象的でした。

高松
オリエンの際には、「自分(親)も一緒に写りたい」という声が多いとおっしゃってましたね。

杉森
はい、そういった声からこれまでの施策では「子どもと一緒に家族全員が写れる」ほうに私達はフォーカスしていたんですね。

ただ、アンケートの声を読ませていただくと、「子どもの自然な姿を残せる」ことのほうがベネフィットだと感じているお客さまが多い印象を受けました。こうしたリアルな声も今後の施策の方向性を考える上で非常に参考になりました。

高松
ありがとうございます。SELPHYのほうはいかがでしたか。

大屋
やっぱり長くあるブランドだけに、お客さまの声を聞いて「あ、この視点が抜け落ちていた」と気付かされることは多々あるんです。「SELPHY、昔使っていたのでプリントの楽しみを思い出しました」「またやってみようかなと思えました」という感想があったのも嬉しかったですね。今後の施策のヒントになる声をたくさんいただけましたので、それを参考に認知をさらに拡大していきたいと思います。

高松
今回のお取り組みを通じてそういった発見につながったのであれば、私達としてもすごく嬉しいです。

撮る、プリントする、その先へ

高松
最後に、今後ブランドとしてチャレンジしていきたいことについてお聞かせください。

杉森
昨年は認知の拡大に注力しましたが、ここからは口コミの拡散を増やしていくために何ができるか、ユーザー同士のコミュニケーションの場をどうつくっていくか、という施策に力を入れていくつもりです。PowerShot PICKは新しいコンセプトの商品で、まだまだ付加価値が浸透していないため、購入前にネット上の口コミをチェックされるお客さまが非常に多いんです。購入前の安心材料をひとつでも増やしていけたら、と思います。

あと作家さんとのコラボレーションなどを通じて、生活の場に置くインテリア的な新しい楽しみ方も提案していけたらと思っています。

大屋
SELPHYも従来のターゲット層のひとつである子育て層はもちろんですが、そこに軸を置きつつも、新たな層の開拓をしていけたらと考えています。

たとえば、最近では「推し活」にSELPHYを活用してくださっているユーザーさんがすごく増えてきているんですね。自分が好きなものをただ画面越しに眺めるだけじゃなく、プリントして、自分なりに手を加えてカスタマイズして楽しんでいただくなど、そういう楽しみ方をもっとご提案できたら。

手を動かして好きなことに熱中できる時間は、気持ちが満たされてリラックスできたりしますよね。SNSやデジタル広告でのコミュニケーションを通じて、そんな風にSELPHYを使ってくださっている方々の声を拾い、そこから新しいチャレンジに取り組んでいきたいと思っています。

高松
「撮る」「プリントする」ことが自宅で気軽にできるようになれば、「手を加える」のような次の新しい楽しみもどんどん繋がっていきそうですね。私達もその入り口のひとつとなるお手伝いができたことを嬉しく思っています。本日はありがとうございました。