2022.02.22

継続的なお取り組みで購入の決め手を検証し、その結果を別施策に生かした「ノルディック スリープ」

書き手 南澤悠佳
継続的なお取り組みで購入の決め手を検証し、その結果を別施策に生かした「ノルディック スリープ」

お取り組み企業担当者様インタビューでは、当初抱えていた課題や、クラシコムと一緒に取り組んだことで得た気づきなどを担当プランナーと一緒に振り返っています。

今回お話を伺ったのは、ノルディック スリープの上田紗衣さん。

ノルディック スリープは、“ぐっすり ゆったり それだけでぜいたくな目覚め”をキーワードに北欧スタイルの眠りを提供するデンマークの寝具ブランドです。

日本には寝具の老舗ブランドもあるなか、どのようにファンを増やしていったのか。担当プランナーの高松が話を聞きました。

Nordic Sleep Japan Marketing Manager
上田紗衣

従来の寝具とは異なるノルディック スリープの特徴

高松
まずはじめに、ノルディック スリープの寝具の特徴を伺えますか?

上田
ノルディック スリープの大きな特徴は、雪のような独自素材「フォスフレイクス」を使っていることです。

これにより、洗濯機で丸洗いができ、さらに乾燥機も使えるので、清潔さを保つことができます。また、繊維片(フレイク)の間に空気を取り込む力に優れているので、常に快適な温度を保ってくれ、軽く振りさばくことでいつでもふわふわとした弾力を楽しむことができます。

有害な物質が含まれていないことを認証する国際安全基準の「エコテックス スタンダード100 class 1」も取得しているので、アレル物質に敏感な人も安心してお使いいただけます。

高松
私はお取り組みをきっかけに掛け布団を使い始め、すごく心地いいなぁと思っています。熱や湿気がこもらないけど、ちゃんと暖かさもあって、不思議な素材ですよね。

上田
もともとは、ノルディック スリープの創業者のラース・E・フォス氏が「眠りの浅さ」に悩んでいたそうです。彼は映画技師でもあり、仕事で映画やテレビなどに使う「人工雪」を降らせていました。あるとき、人工雪の詰まった大きな袋の上で仮眠をとっている人がいるのを見て、その方がぐっすり眠れるよとフォス氏に伝えたようで。

そこで創業者のフォス氏も試してみたところ、その晩はぐっすりと眠れたみたいなんです。その経験から「四季のはっきりした北欧でも、気温に合わせた寝具を使うことで心地よい睡眠を得る」を追求するために、人工雪をヒントに独自素材の「フォスフレイクス」を生み出したと聞いています。

「北欧」をキーワードに、 商品理解から購入までを結びつける

高松
悩みがあったからこそのひらめきですね。ノルディック スリープが日本に上陸したのは2017年です。当時は存在を知ってもらうだけでも一苦労だったと思いますが、どのようなコミュニケーションをとってこられたのでしょうか?

上田
とにかく試行錯誤でしたね。最初の1、2年はデンマークのマーケティング戦略に基づいて施策を行っていたのですが、なかなか手応えがなくて……。

基本的にはオンラインでどれだけ集客できるかに絞って、さまざまな施策に挑戦。どういったことがお客さまに親しまれ、そして理解してもらえて購入にまで結びつくのかを一つひとつ確かめていました。

そもそも日本には、老舗の寝具ブランドもあります。ノルディック スリープの良さを伝えるために「北欧」をキーワードとした切り口はどうだろうかと考えていたんです。

そのときに「北欧、暮らしの道具店」のサイトを拝見し、いろんな読みものや、それを通して商品を販売している様子を見て「ここならノルディック スリープの寝具を受け入れてくれる人がいるのでは?」と興味を持ちました。

それまでは、まだあまり認知されていなかったため、ターゲットである20〜40代女性に対して、あまり購入に結びついていなかったんです。そのため「誰にどう使ってもらいたいのか」「どういう人に興味を持ってもらいたいのか」も見るようにしていました。

高松
そうだったんですね。上田さんから最初にご連絡いただいたあと、何度かやりとりさせていただき、BRAND NOTE(記事タイアップ)2本、BRAND BOOK(商品ブランドとタイアップした冊子)1冊のお取り組みが決まりました。決められた理由はどんなところにあったのでしょうか?

▲BRAND BOOKは、「北欧、暮らしの道具店」でお買い物されたお客さまに配布したほか、ノルディック スリープのPOP UPや自社ECでの配布にも活用

上田
商品をきちんと理解いただいて、購入まで結びつける。この目的に一番近いものとして選びました。それにお客さまとのコミュニケーションで、わたしたちが自信をもってお伝えすることはもちろんですが、「いいですよ」と、実際に使ったお客さまが何を感じ、どう思ったのかを伝えるほうが響くのではないかと思って決めました。

お取り組みを通じて、 何が購入の決め手になっているかを検証

高松
初回実施時点では、どんな点がお客さまに選ばれて購入につながるのかはまだ手探り状態。それが課題でしたよね。

上田
そうですね。なので自己紹介も兼ねて北欧の人たちの寝室への考え方や、心地いい暮らしと寝室のあり方、それらを実現する寝具としてノルディック スリープを紹介していただきました。

また、掛け布団はスプリング、サマー、オータム、ウインターと、厚みやつくりが異なる4タイプがあります。室温や好みで選べることが特徴でもあるので、季節性を持たせることで、特徴をつかんでもらえたらと考えていました。

高松
その結果、BRNAD NOTEの記事下アンケートで集まったお客さまの声から、「丸洗いできること」を中心としたプロダクトへの興味関心が高いことがわかりました。

2回目のお取り組みではBRAND NOTE2本を制作し、前回の結果を受けて情緒面にも触れつつ、よりプロダクト面に重きを置いた方向性に方向転換しましたね。そうしたところ、やはりアンケートで「丸洗いできること」を中心としたプロダクトへの興味関心が高いことがわかり、仮説の検証にもつながりました。

3回目でのお取り組みもその結果をもとに、ノルディック スリープの使い心地の良さとシンプルさを中心に伝えつつ、信頼できて長く愛せる寝具としてご紹介しました。

単発でお取り組みを終わらせず、季節ごとの商品を紹介しながら前回を踏まえて何をどう伝えるかを考えていくことで、CTRは20〜40%台と高い数値が出ました。

上田
通常、寝具は大きな買い物なので、いいなと思ってもすぐに購入に結びつくことはありません。ほかでもいろんな施策を行いますが、流入はすごく良くても、まずは家に帰って家族に相談したり、お部屋環境やベッドを見て検討したりするケースが多いようです。

でも、BRANDNOTEを読まれたお客さまはリアクションが良くて、すぐに購入に結びついていることに驚きました。また、回を重ねると下降するものだとも思っていたのですがそういうこともなくて。

出演してくださった方がノルディック スリープの寝具を使って本当に実感した言葉だからこそ、説得力があるんだろうなと感じています。

制作した記事を二次利用し、新たな流入に活用する

高松
制作した記事はすべて二次利用していただいていますが、それも施策としてプラスの効果を生んでいるのでしょうか?

上田
弊社のメルマガでも記事を伝えたり、記事の写真を素材として広告に使ったりしているのですが、それも新たなお客さまを呼び込み、購入につながっていますね。

特にクリエイティブは重宝しています。というのも、デンマークのクリエイティブはすごくおしゃれなのですが、日本人の生活に落とし込んだときの様子がイメージしづらいんです。私たちとしては特に30〜40代の働く女性に使ってもらいたいのですが、デンマークは日本と住宅事情が異なり、部屋のサイズが大きい。優雅なのですが現実とのギャップが大きくなってしまったんです。

高松
デンマークのクリエイティブのイメージが強すぎるのも課題としてある、とお話しされていましたものね。「北欧、暮らしの道具店」では「スタッフの愛用品」などを始め、その商品を自分の暮らしに取り入れた様子を伝えることをずっと行なっています。だからこそ、ノルディック スリープの寝具が私たちの暮らしの中にある様子も自然に描けたのかなと思います。

上田
クリエイティブ面の課題も解決されたのはよかったなと思います。実際に、BRAND NOTEやBRAND BOOKに出演された方が、ノルディック スリープの寝具で心地いい睡眠を得られていると言ってもらえ、かつお取り組み後も愛用いただけているのはうれしく思います。

まだまだ知ってもらう余地があるからこそ、 リアルも交えた施策を行なっていく

高松
最後に、今後の展望を聞かせていただけますか?

上田
BRANDNOTEのアンケート結果を見ると、回を重ねるごとに認知度は上がっているのですが、まだまだノルディック スリープを知ってもらう余地があると感じています。

コミュニケーションの中心はオンラインになりますが、今年は新たな取り組みとして2022年1月下旬まで、国内初の直営店として、ノルディック スリープ 六本木ヒルズ店を期間限定でオープンもしました。実際に手に取っていただくことで、「気になっていたけど買うのをためらっていた」「子どもがアレルギー体質だから実際に商品を見てみたかった」など、ノルディック スリープの寝具の良さを実感していただくこともあります。

北欧流の豊かな眠りを提供する。そうした想いのもと、今後もファンを増やしていきたいと思っています。