今回は、“暮らしを考える新しいペイント”として、189色から自分好みのカラーで壁やドアの塗り替えを楽しめる「ROOMBLOOM(ルームブルーム)」編でご一緒した、日本ペイントホールディングス株式会社の柳谷さん、大曽根さんにご登場いただきます。聞き手は、クラシコム中村です。
嬉しさ、楽しさ、豊かさで、「塗る」文化を再び。
──あらためてROOMBLOOMが生まれたきっかけからお聞かせください。
柳谷さん(以下、柳谷) わたしたちの会社のミッションは「内装文化を創造する」です。日本は戦後復興から工期の早い壁紙が主流になっていますが、もともと「家を塗る」という文化がありました。メーカーとしては、お客さまに「塗る」という選択肢があることを再度お伝えしていくのが必要だと考えています。
そこでわたしたちは「ペイントのある暮らし」を提案し、その豊かさをお伝えする活動をメインとした新規事業を立ち上げました。これまでも日本ペイントの商品は、技術改良によって「20年は塗り変えなくていい」「水性で安全安心」「匂いも少ない」といったように機能を持たせていくことには秀でていました。その一方で、消費者に訴えかけていく商品作りはできていなかったんです。
──その「訴えかけていく商品」がROOMBLOOMなんですね。
柳谷 ベースとなる技術に嬉しさ、楽しさ、豊かさを加えられたら、と。たとえば、一つひとつの配合のネーミングにも、その後ろにそれぞれのストーリーがあります。それも、塗った前と塗った後のことをすべて想像して提案するのを大切にしてきたからです。
家のどの部分を塗り替えるかを決めて、家族と一緒に色選びをして……その時間から暮らしがいかに変わるかを見つめあえると思ったんです。
ECサイト購入者の半数がBRAND NOTE経由。アンケートでの発見も。
──そして生まれたROOMBLOOMですが、「北欧、暮らしの道具店」に今回のタイアップのお声がけをいただいた経緯は?
大曽根さん(以下、大曽根) このショールームでお客さまの相談を伺ったり、ブランドサイトを立ち上げたり、コンセプトをしっかり伝えて売るために販路を自社ECに絞ったりと、「お客さまと丁寧にコミュニケーションをする」ことを重視してきました。
そのなかで、「やってみたい」という興味や好意的な声をいただく一方で、実際に「行動」をしてもらうための情報は、まだまだ伝えきれていないのを課題に感じていました。
そこで個人的に「北欧、暮らしの道具店」」を見ていて、「自分の暮らしをつくっていく」というコンセプトに共感していましたし、ROOMBLOOMがターゲット層に考えている人たちと読者も近しいのではと感じていたんです。
──以前からご覧いただいていたのですね!
大曽根 はい。ニットデザイナーの渡部まみさんとROOMBLOOMの動画を制作したのですが、渡部まみさんが北欧、暮らしの道具店でもインタビューで取り上げられていて、そんなところでも親和性を感じたのもありました。
大曽根 北欧、暮らしの道具店はものを売るサイトですから、商品に帰結させる記事も多いですよね。わたしたちが課題としていた、興味のあとの「行動」を促すための情報伝達のヒントも得られるのではと考え、お取り組みをしたかったのが今回の経緯ですね。
──実施しての感想はいかがでしょうか。差し支えない範囲で数値などもお教えください。
大曽根 まず感想は「やってよかった!」と思っています。反響も大きく、今回はサンプル請求を記事からの遷移先に設定していましたが、記事配信後すぐに請求が来ました。1週間と経たないうちに、サンプルのご請求がありました。
──それはうれしいですね。その後、トータルでの請求数はいかがでしたか?
大曽根 1週間で月間のご請求数の4倍になりました。仮にいつもは1ヶ月で100件の申し込みがあるとしたら、1週間で400件のご請求が届いたわけです。封入作業で私の一日が終わってしまうくらいの忙しさでした(笑)。
サンプル請求は1回に10色まで選べるのですが、タイアップ記事などを展開すると、通常はそこで使われている色を選ばれる方が多いものです。ただ、北欧、暮らしの道具店さん経由の方はそれが少なく、トーンや色彩に好みがそれぞれ反映されていたのも印象的でした。読者一人ひとりが自分の好きなものやスタイルを知っているのだろうと感じましたね。
実際に購入にも結びついていて、掲載月のECサイト購入者のおよそ半数が北欧、暮らしの道具店を経由したお客さまでした。まさに一歩先の「行動」を起こしてもらう情報伝達ができたんだとわかりました。PVやSNS上の反応も好評で、想定よりも多い700件近いアンケートには、自由記入欄にもしっかり記述してくださっていて発見がありました。
──アンケートは通常の2倍から3倍ほどありましたね。その発見とは何でしょう?
大曽根 記事の後編でスタッフの方が実際にセルフペイントに挑戦していますが、塗った後に養生テープをはがすと、壁紙の凹凸にペイントがすこしだけはみ出していた……と、ちいさな失敗もしっかり映していましたよね。
──スタッフ塩川が「コーキングの大切さ」を知るシーンですね。
大曽根 メーカーでものをつくっていると、どうしてもマイナスに働くことを懸念する情報には抵抗があり、それでも嘘をつきたくないというスタンスもあります。だから、原稿をいただいたときに、「はみ出した」という事実を伝えるのがネガティブ要因にならないかと迷ったんです。でも、プロでない人が最初から完璧にするのは難しいことだってある……そこで今回は北欧、暮らしの道具店のみなさんを信じて載せてみたら、その部分に親しみを感じたというアンケートの反響にもつながっていたのが新鮮で。等身大のセルフペイントを伝えてもらったことが今回はよかったのだと思いました。
──わたしたちとしては「本当だから役に立ち、役に立つから面白く読める」というコンテンツの発想を大切にしています。個体差のある商品を扱うときも、その差があることを理解して買っていただくというサイクルを続けてきました。今回の記事では、日本ペイントのみなさまにそこをご理解いただけたのは嬉しかったところです。
柳谷 ほんとうのものづくりって、シーズを作ることも重要だけれど、ニーズを作ることも大切のはずですよね。メーカーとして、その両者が噛み合ういいものつくるなかで、わたしたちはニーズサイドを追っているという意識があります。今回得られた等身大の発見を含めて得たことを技術者へ返して、市場にも反映していく役割を進めていきたいですね。
「自分の好きな暮らし」を、より簡便に手に入れるツールへ。
──最後に、今後のROOMBLOOMについてお聞かせください。どのような提案やコミュニケーションにチャレンジしていきたいと考えていますか。
柳谷 常に思っているのは、みんなでどうやって楽しく暮らしていくかを考え、そこにわたちたちとROOMBLOOMがいる、という姿にしていきたいです。現在も行っているさまざまな方とのコラボレーションや、「ペイントパーティー」という楽しみ方の提案、それから「HAPPY WALL PROJECT」のボランティア要素に、新たな軸をさらに加えたいですね。組み合わせの相乗効果で提案していけないかを考えています。
大曽根 色を選ぶプロセスを通して、子どもの新しい一面を見たり、自分が塗ったという体験で愛着が出たり。いろんな要素があって、ペイントは子どもからお年寄りまでをつなぐコミュニケーションツールになれるんだと思っていますから。今後は、公式Instagramも展開していますが、さらにユーザーさんと双方向のコミュニケーションができるようになるといいですね。
柳谷 まだまだ「自分の好きな暮らしを手に入れるのに、なぜこれほど苦労するんだろう」という思いがあるので、それをどれだけ簡便にできるかは考えたいですね。10月からはその一環として、色の組み合わせやコーディネートの提案や、部屋の中に収納やパーソナルスペースをつくる施工サービスもスタートする予定です。
これからもお客さまとのコミュニケーションは、丁寧に寄り添って、ヒントを提案。このスタンスは変えずに続けていきたいです。
──お話を聞かせていただき、ありがとうございました!
【BRAND NOTE ROOMBLOOM編】はこちらよりご覧いただけます。