2017.06.08

広告ではなくコラボレーションだから成果を生んだ。富士フイルム「WALL DECOR」編を振り返る

書き手 長谷川 賢人
写真 木村 文平
広告ではなくコラボレーションだから成果を生んだ。富士フイルム「WALL DECOR」編を振り返る
クラシコムのスタッフが、お取り組みする企業の商品をじっくりと知りながら仕立てるスポンサードコンテンツ「BRAND NOTE」。シリーズ連載「BRAND NOTEの舞台裏」では、お取り組みのきっかけや掲載後の反響などを、企業のご担当者さまからうかがっています。
今回は、写真を上質なパネルに加工してくれるサービス「WALL DECOR(ウォールデコ)」編でご一緒した、富士フイルム株式会社の藤堂正寛さんにご登場いただきます。聞き手は、クラシコム高山です。

社員でありながら写真家、音楽家、クリエイター。

──スタッフ宅で今回のBRAND NOTEの撮影をした時に、別企画で使うための動画を藤堂さんがお撮りになっていましたね。しかも、ご自身の私物にも関わらずお持ちになっていた機材が本格的すぎて驚きました。

藤堂正寛さん(以下、藤堂) (笑)はい。富士フイルムの仕事とは別に趣味で、写真家としてアーティストのジャケットや、ファッションポートレートなどをよく撮るんです。他にも、フリーペーパーをつくったり、物書きしたり、音楽活動もしていて。

いまは「DoubleFamous(ダブルフェイマス)」というバンドに加入しています。写真の方は、最近ではEvery Little ThingのDVDのオフショットムービーを1本動画で撮影から編集まですべてやりました。ゆっくりとしたペースですが、仕事と併せて写真家や音楽家の活動も続けていきたいですね。あくまで趣味です(笑)

──なんかもう凄すぎてコメントに困りますね(笑)。プライベートの藤堂さんについてもすごく興味があるのですが、今回はWALL DECORとのお取り組みについてしっかりお話うかがえればと思います。藤堂さんは実際にご自宅にWALL DECORで注文したパネルを飾られていますか?

藤堂 いまは2箇所に飾っています。ひとつはレコード置き場にあって、去年訪れたアメリカのニューメキシコの道路をモノクロで写した風景です。どれほど自動車を飛ばしても、15分は他のクルマとすれ違わないようなところなんです。

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藤堂さんのご自宅で飾られているWALL DECOR。

──まるで映画の中のストーリーですね!憧れの景色を飾っておけるなんて、すてきです。

藤堂 もうひとつはカラーで、スクエアタイプを4枚並べています。アレキサンダー・ジラードというデザイナーが手がけたレストランの壁が超かわいくて、その壁を撮影したものをパネルにしています。 壁の話が出たついでに言うと、欧州や海外では「写真を壁に飾る文化」がフォトブックと同じくらいニーズがあるんです。ただ、日本では広まらないと言われてきました。

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──欧米と日本の差はどこに生まれているのでしょう。

藤堂 住宅事情も大きいと思いますが、それでも日本で調査したアンケートでは85%以上の方が「写真を壁に飾ったことがある」と答えています。ですから、しっかりとPRすれば喜ばれるサービスになるのではないかと考えました。意外と、プリントや額装を自分でやると、手間もお金もかかりますから。

お申し込みの半数がBRAND NOTE経由。ポイントは「暮らしの提案」

──そのPRの一環として「北欧、暮らしの道具店」をお選びいただき、あらためてありがとうございました。BRAND NOTEの実施を決めたとき、社内の反応はいかがでしたか。

藤堂 僕の価値観や感覚は、少しマニアックでニッチなユーザー層に属すると社内で認識されているんです。メンバーにはよく、そういったユーザー層のことを「藤堂層」だと言われていたので(笑)、正直すんなり社内で合意がとれたという感じでもなかったです。

WALL DECORは、「北欧、暮らしの道具店」やライフスタイル雑誌などとタイアップしたほうが良いと話しても、なかなか理解はしてもらえなかった。どちらかといえば、本格的な写真を撮られている方たちにコミュニケーションしていこうという方向性だったんです。でも、絶対に「藤堂層」に喜んでもらえるからと説きました。

──私たちも、他の案件でもそういった壁に悩んでいるのですごくよく分かります!実際のお取り組みの成果としてはいかがでしたか。

藤堂 様々なデジタルマーケティング施策を走らせていたなか、BRAND NOTEのお取り組み後の一定期間は、WALL DECORの注文の半数くらいが「北欧、暮らしの道具店」を経由したお客さまでした。掲載初日はUUで見ても10,000くらいの遷移がありました。

──数値ボリュームとしても成果を出せたのは嬉しいです! 今の時代において、いわゆる「藤堂層」な方々のボリュームがどんどん大きくなっていると感じています。

藤堂 そうですね。物や情報が溢れる今の時代において、日々の暮らしを無理せずに自分なりに整えていきたいという感覚が、むしろ「スタンダード」になってきている。他社を見ても、若くてセンスのいいマーケターが増えてきて、良いプロダクトもいっぱい出ていますよね。

──今回のお取り組みのなかで、富士フイルム様から「WALL DECORを紹介するうえで、このタイプの商品を最低何パターンは取り上げてほしい」といったご要望が特になく、提案そのものから私たちに「あえて任せていただけた」ことがとてもありがたかったです。

藤堂 その考えは最初から念頭にありました。たとえ私たちが取り上げてほしいタイプのパネルでなくても、スタッフのみなさんに選んでもらったものでいこうと。やはり本当にいいと思ったものを紹介してもらったほうが、熱量高く書いていただけますから。

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──当店のスタッフも、WALL DECORを暮らしに取り入れてみて、気持ちにちょっとした変化があったことを話していました。

藤堂 写真の楽しみは人それぞれですが、そもそも写真は「評価されるためのもの」ではないと思っています。自分が「いいな」と思えれば、極論を言えば何でもよい。その1枚が、時間を経ることでかけがえのない写真になっていくんです。

──だからこそ、WALL DECORのコンセプトコピーも「時を飾ろう」なんですね。あるスタッフがこんなことを言っていました。いま、写真はインスタにアップするものが多いけれど、アップする写真は「インスタの世界観にフィットするか」という第三者からの見え方を気にした上で選んでいる。でも自分にとって好きな夕焼けの写真は、自分にしかわからない文脈がある。だからこそ、第三者ではない、ほんとうに自分が表れている写真が飾れることが嬉しいと。

藤堂 とても嬉しいです。そういった写真の楽しみ、プリントサービスでお客さまに楽しんでもらおうという「使命感」は、ぼくが富士フイルムで働くやりがいのひとつです。

たとえば、スマホでよく写真を撮るママさんたちが、撮った写真はスマホの中の世界で済ませるとおっしゃるなら、ぼくらの使命はなくなります。ただ、ほとんどの方がアルバムとして写真を残したいと思ってくれていて、そのうち半数の方が実はまだ作れていない。だからこそ、富士フイルムにもまだまだ使命はあると思うんです。

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BRAND NOTEは、広告というよりコラボレーションだった。

藤堂 今回、BRAND NOTEを実施してよかったと思うことが2つあります。ひとつは、「北欧、暮らしの道具店」はウェブ上のお店でありながら、リアルのお店のようにスタッフの方がお客さんに商品をオススメしている温度感を感じられたところです。

もともとスタッフの人となりが見える感じはありましたが、自分たちも直販サイトを手がけているからこそ、ただの写真屋さんの窓口ではなくて、ちゃんと楽しいお店づくりをしたいですし、その理想形のひとつが「北欧、暮らしの道具店」だと思っていましたね。

──私たちもその感覚はとても大事にしています。サイト運営のKPI等をよく尋ねられるのですが、実は目標値などはあまりないんです。唯一あるとすれば「過去20回以上サイトに訪問していただいている常連層のお客さまが、ずっと同じ割合で増え続けているか」ということでして、月間のアクセス数が1600万PVから2000万PVになったとしても、これまでの常連層のお客さまが減っての数値結果だとすれば、お店としてはあまり健全ではないかなぁと。 ただ、この指標も経営陣だけがしっかり見ているという感じでして、私含めて一般のスタッフはそこまで意識していないかもしれません。

藤堂 WALL DECORもリピーターが4割ですから、一般的なECサイトと比較すれば高い数値のはずです。そういった方たちを大切に、ちゃんとおもてなしをするのが重要だなと。

BRAND NOTEのお取り組みでもうひとつのよかったことは、「広告というよりも、コラボレーションしたコンテンツだった」という感覚です。様々なメディアでよく見かける広告とは全く質が違うというように思いました。クラシコムさんの取材撮影に同行して本当によかったと感じるのですが、とっておきのものづくりのようにコンテンツを制作する丁寧な姿勢に共感しました。

──すごく嬉しいです!私たち自身も、クライアント様の商品情報をそのまま伝えるというよりも、「北欧、暮らしの道具店」の文脈や世界観を掛け合わせて、新しい提案や気づきがある紹介をしていきたいと思っています。

藤堂 まさにそうですね。これは商材による面もありますが、WALL DECORのサイトに理解を深めないままお越しいただいても、離脱率が増えるだけなんです。最近のユーザーは広告だとわかった瞬間にページから離れてしまう。でも、BRAND NOTEは確かに広告なんですがそういった広告とも、どこか違うように感じました。

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──私たちはスタンスとして「潔さ」を大事にしています。たとえば、クライアントさんとのお取り組みであることや商品のことを最初に明記したり、お取り組みに至った理由を先に伝えたりすることが大事だと考えています。

藤堂 WALL DECORもECモデルのセオリーでもある、「ウェブ広告で誘引して、いかに離脱させないか」というデジタルマーケティングの世界で戦っていましたけれど、ちゃんといいものをつくれば、小手先の事にこだわらなくても、おのずとそれは広まっていくと考えるようなりました。

だからこそ、今はプロモーションを強化するというよりもこの製品をもっとブラッシュアップしていきたい気持ちがあります。印画紙や額縁のタイプを増やしたり、より大きなサイズに対応したりと、ちいさな改善ができるところもたくさんある。今後は写真店の店頭でも注文できる仕組みを考えていますから、気軽にスマートフォンやお店で注文できるようにしていきたいですね。

──お話を聞かせていただき、ありがとうございました!

 

【BRAND NOTE WALL DECOR編】はこちらよりご覧いただけます。

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