企業の共創のかたち。チームメンバーが語る「味の素社×クラシコム商品開発プロジェクト」
株式会社クラシコム ブランドソリューショングループが主催となり、企業のマーケティング担当者様に向けて開催している「BRAND SOLUTION SALON」。企業の方にご登壇いただくトークセッションとあわせて、参加者の皆様にも一緒になって考え、交流していただくイベントです。
セミナーやトークイベント形式ではなく交流に重きをおいたイベントで、同じ悩みや領域を担当する方々が集まり、情報交換ができる場として、多くの参加者様から好評をいただいています。
▲左から、味の素社の瀧本有加さん(コミュニケーションデザイン部)、任友璇さん(D2C事業部)、西田昂也さん(食品研究所)
11月28日に開催された第7回では、味の素株式会社と株式会社クラシコムの協業マーケティングである「暮らしの素プロジェクト」のメンバーが登壇し、プロジェクトの中間報告とトークセッションを行いました。
▲右から、同プロジェクトに参加しているクラシコムのメンバーである、プライベートブランド開発グループの斉木菜穂子、ブランドソリューショングループの高松宏美、モデレーターを務めたブランドソリューショングループの高山達哉
約20ブランドのマーケティング担当者様にご参加いただき、トークとその後の懇談を楽しむことができました。その模様をお届けします。
「暮らしの素プロジェクト」とは
クラシコムの持つ「北欧、暮らしの道具店」で培ったD2C(Direct-to-Customer)ビジネスのノウハウと、味の素株式会社の持つブランド力・商品開発力を生かし、協働することにより、ターゲットとの強い繋がりのある商品を生み出すべく立ち上がった「暮らしの素プロジェクト」(詳細はこちら)。
6月にプロジェクトを発表&キックオフし、そこから両社の知見とアイデアを持ち寄り、議論を続けてきました。「アタマ」「カラダ」「ココロ」をつなげることを大切にしながら、小さく試して学んでいくサイクルを取り入れているクラシコム。今回のプロジェクトでもその手法を採用して進行していきました。
両社のカルチャーや商品開発の進め方などの違いに戸惑いながらも対話を重ねることで、ノウハウや手法だけではなく、動機や考え方、お客様への向き合い方などさまざまな価値観を共有することができたというお話が各者から語られました。
ここまでの約6ヶ月の取り組みを通じて、実際に商品化が決定した商品の概要の一部もお披露目されました。商品決定までのプロセス、直面した悩みや壁、そこから得られた学びや気づきが語られるパートでは、参加者の皆様が真剣にメモを取り、「わかるわかる」と頷く様子も見られました。
「暮らしの素プロジェクト」から生まれる共創
新プロジェクトの立ち上げから商品開発を進めてきた「暮らしの素プロジェクト」。2025年3月の商品発売を目指し、まだまだ絶賛進行中ですが、中間発表ということで現段階までを振り返り語ってもらう場面もありました。
<味の素社 任さんからのコメント>
クラシコムさんが実践されているN=1のアプローチについては、プロジェクトの社内説明会等でも伺っておりましたが、実践のなかで体感することができ、すごく学びになりました。今回の取り組みでは、「私だったら」という動機が企画のスタートになっていて、当社の商品開発フローとは異なる新鮮な体験でした。
実は、途中で商品のコンセプトがガラリと変わる展開があり、「今までの議論はなんだったのだろう?」と動揺する瞬間があったんです。今日、そのときのことを振り返って、「動機は変わらず、お客さまへ伝える視点が変わった」と説明いただいて、改めて腹落ちできました。
<味の素社 滝本さんからのコメント>
味の素社は専門性で部門がわかれているので、同じ専門性を持ったメンバーでチームを組むことが多いのですが、今回は異なる専門性を持つチームで取り組みました。はじめての経験ではありましたが、自然とそれぞれの得意分野を活かしながら動くので、役割分担が明確になりやすかったです。
商品開発・発売に向けて各部門と連携が必要な場面でもそれぞれの繋がりや知見を活かすことで効率がよくなりますし、何よりも動機の部分を共有しあえているので、連携時に各々が熱量をもって伝えやすくなる、つまり“想い”の分量が減らないということを実感しています。
<味の素社 西田さんからのコメント>
今回の取り組みなどを通して、N=1想起の企画が社内で受け入れられていくような空気感が醸成されていくと、研究所内の空気も変わっていき、今までどこか諦めてしまっていた所員一人一人のN=1起点の提案も増えるでしょうし、忘れかけていた“きらめき”が生まれてくるのではと、嬉しく思っているところです。
<クラシコム斉木からのコメント>
食領域で商品を生み出し、お客さんに届ける責任の重みを目の当たりにしています。安心して食べることができ、おいしいと感じる裏側の苦労を垣間見ることができています。私たちは服や雑貨の商品が中心ではありますが、味の素さんの姿勢や想い日々さまざまなことを学ばせていただいていて、リスペクトを感じる瞬間ばかりです。
<クラシコム高松からのコメント>
私はブランドソリューショングループに所属しているので、ブランドや商品のマーケティング課題をお伺いし、企業の言語を生活者の言語に翻訳するのが仕事です。なので、自分の動機も大切にしますが、前提には商品があるので、そういう点では味の素の皆さんに近い感覚で今回のプロジェクトに関わっている部分もあるのかなと思います。あらためて企業担当者が抱える課題や悩みをリアルに知ることができる機会になっています。
それぞれの視点で語り合うアウトプットの時間
このイベントの特徴は、トークセッションによるインプットとあわせて、参加者の皆様にもアウトプットをしていただく時間を設けていること。トークセッション後には、参加者同士で感想を共有しあっていただきました。
同じ領域を担当しているからこそわかりあえることもあるようで、皆様、それぞれの視点から感想を語り合い、盛り上がっているご様子。各テーブルからは「味の素さんの悩みに共感できた」「こういう取り組みをうちの会社でやったらどうなるんだろうと考えてみた」というような声が聞こえてきました。
語り合いの中で生まれた疑問や質問を、登壇者に投げかける時間も設けられました。次々と出てくる質問に登壇者がそれぞれの視点で回答し、新しい議論が生まれる瞬間も。盛りだくさんの内容でトークセッションを締めくくりました。
その後の交流会では、「暮らしの素プロジェクト」のメンバーにさらに質問をしたり、参加者同士で自分や自社の状況を共有したり、情報交換をしたり。さまざまな対話が生まれていました。また、参加者様からはこんなコメントをいただきました。
<参加者様からのコメント>
「私自身、仕事の中で、他社とコラボする必要性をとても感じていたところだったので、具体的な事例としてプロジェクトの全容を伺うことができて、とても興味深かったです。味の素さんの組織構成も大変参考になりましたし、クラシコムさんの企画の進め方とポリシーも非常に新鮮で面白かったです」
「2社の企業風土、姿勢の違いが明確であり、大変興味深く拝聴いたしました。日々の生活で動機を深掘りし、消費者の情緒的なニーズに応える手法を知りました。自分自身を生活者、消費者としての視点からスタートし、共感できるポイントを探していくアプローチもとても勉強になりました」
「暮らしの素プロジェクト」もまもなく大詰め。商品発売に向け、互いの強みを生かしながら、ますます共創を強めていきたいと思います。今後もクラシコムや味の素さんのサイトでも今後の展開や商品についてご紹介していく予定なので、楽しみにしていてください。